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[イワクニ 地域と米軍基地] オスプレイ飛来恒常化か 厚木との輸送や訓練

墜落C2の代替運用 懸念

 米空母艦載機のC2輸送機が11月に墜落事故を起こしたのを受け、米軍岩国基地(岩国市)での輸送機オスプレイの代替運用を懸念する声が基地周辺で高まっている。国内で唯一配備されている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のオスプレイが岩国基地を拠点に低空飛行訓練をしたことも明らかになり、専門家は同機の岩国への飛来が恒常化する可能性を指摘している。(和多正憲)

 米軍は現在、海兵隊用オスプレイを普天間飛行場に配備。海軍でも艦載機を含む現行のC2を海軍仕様のオスプレイに切り替える計画で、海軍発表の文書では「2020年に移行を始める」と明記している。

 一方、在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は、11月22日に岩国基地から空母ロナルド・レーガンに向かう途中、東京・沖ノ鳥島沖で墜落したC2の事故機について、岩国へ移転予定の2機のうちの1機だったと説明。米側は当初来年1月ごろに移るとしていた残る1機を、今月5日に前倒しして岩国に配備した。

「4~6機往復」

 今後、岩国基地への移転機種が見直される可能性について、中国四国防衛局は「当面C2は1機の運用と聞いているが、それ以上は分からない」とする。

 「海軍がオスプレイを代替機に使う可能性はある」と指摘するのは、市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典顧問(61)=岩国市。米海軍第7艦隊のロナルド・レーガン配備の輸送機は2機のC2だけで、空母からの輸送手段として「垂直離着陸が可能なオスプレイの転用はあり得る」とみる。

 実際、防衛省は事故直後の11月24日、山口県などの地元自治体に対し、同空母と米海軍厚木基地(神奈川県)、岩国基地との間で、物資や人員を輸送するため普天間所属のオスプレイ4~6機が往復すると通知。翌25日には、岩国基地への飛来が確認されている。

継続運用を警戒

 厚木基地の周辺住民にもオスプレイ運用への懸念が高まる。米海軍は、艦載機が岩国に移転後も「折に触れて」厚木を使うと明言。トラブルの多いオスプレイが頻繁に飛来すれば、新たな不安材料になるのは必至だ。11月下旬、米軍と国に対し、C2の代替機としてオスプレイを飛行させないよう求める申し入れ書を提出した住民団体の一つ「厚木基地を考える会」の矢野亮代表(66)=神奈川県座間市=は「オスプレイがこのまま代替機として使われ続けるのでは」と警戒する。

 また、オスプレイは今月8日からの「日米共同訓練の一環」(防衛省)で岩国基地に飛来。その際、同機の運用部隊は「飛行規制が沖縄ほど厳しくなく、沖縄ではできない訓練が可能」とし、同基地を拠点に9日から低空飛行訓練などを実施したと表明した。

 軍事評論家の稲垣治氏は「米軍の計画に沿って将来的には岩国基地に海軍用オスプレイが配備される」とした上で、「米軍は戦術的に旧型の輸送機をオスプレイに切り替えている。岩国には空中給油機も配備されており、今後も拠点とした訓練をするケースは増えるだろう」とみている。

(2017年12月24日朝刊掲載)

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