×

ニュース

中電 純損失69億円 9月中間決算

 中国電力は31日、2012年9月中間決算を発表した。島根原発(松江市)の停止に伴い代わりの火力発電の燃料費が膨らみ、純損失は69億5800万円となった。赤字幅は記録的な原油高で燃料費がかさんだ08年同期に次ぐ規模となる。

 売上高は6021億9400万円と6・7%増え、過去最高を更新。節電意識の高まりなどで販売電力量は減ったものの、燃料費調整制度の影響で3年連続の増収。他社への電力融通による収益は約333億円に上り、前年同期より168億円増えた。停止中の島根原発1、2号機に代わり火力発電所の稼働を増やし、燃料費は前年同期から35・6%増の1881億円だった。

 13年3月期の業績予想については「合理的に予想することが困難」とし、未定のままとした。広島市中区の本社で記者会見した苅田知英社長は「経営効率化に努めコスト削減に取り組む」と述べた。(和田木健史)




中間決算赤字 コスト削減 待ったなし 重い燃料費負担 値上げ、当面見送り

 原発停止に伴う燃料費の増加で、中間決算としては過去2番目の赤字幅となる中国電力。苅田知英社長は31日、中電本社であった記者会見で、あらゆる面でコスト削減を強化し、当面値上げしない方針を強調した。(東海右佐衛門直柄、和田木健史)

 70億円に迫る赤字幅について、苅田社長は「火力発電所を中心としたやりくりで大変だった。燃料費の負担も重く、今後も厳しい収支にならざるを得ない」と事業環境を説明した。

 原発の再稼働時期を見通すことが難しく、財務改善の糸口も見えないままだ。関西電力や九州電力は料金値上げの検討を始めたが、苅田社長は「(現時点で)具体的な検討に入っていない」と否定。「できる限り現行の料金水準を維持し、お客さまの負担が増えないよう努める」と述べた。

 ただ、原発停止が続けば、「他社と同じ状況になる」と将来の値上げに含みを持たせた。

 しかし、値上げは家庭や企業に重い負担を強いるだけに、徹底したコスト削減が欠かせない。苅田社長は設備投資や資材、燃料の調達も含め「あらゆる面で効率化に努める」と強調。当初は約200億円としていた本年度のコスト削減目標を上積み、経営効率化を急ぐ考えだ。値上げの検討に当たっては役員報酬を含め人件費の見直しも考え、利用者の理解を得ていく構えだ。

 原発の再稼働の前提となる国の安全基準作りは、来年7月までずれ込む見通し。苅田社長は「新しい基準を早く示してもらいたい」と求めた。

会見での主なやりとり 苅田社長

 苅田知英社長の会見での主なやりとりは次の通り。

 ―中間決算をどう受け止めますか。
 大変厳しい。今後の環境も厳しく、あらゆる面でコスト削減に取り組む。

 ―コストをどう改善しますか。
 一番大きな要素である燃料費では、(石油と比べて安価な)液化天然ガス(LNG)の購入を増やす。設備を見ながら修繕の先延ばしも検討する。

 ―現行の料金水準を維持できますか。
 原子力発電の再開時期がポイントになる。(停止が)このまま続けば他社と同じ状況になる。現段階で検討していないが、お客さまにご負担をお願いする可能性はある。料金(値上げ)ということになれば、人件費削減も考える必要がある。

 ―原発を含めた将来の電源構成を見直しますか。
 再生エネルギーの導入状況を見極めながら、石炭、LNGなどを含めた比率を見直すことは当然視野に入れていく。当社はもともと原子力の比率が低い。理解を得ながらある程度比率をアップさせる方向性は変わらない。

<2012年9月中間決算>

企業名   売上高           経常利益      純利益        配当(円)
中国電力  602,194(6.7)   ※9,903(-)   ※6,958(-)    25.0(25.0)

(単位百万円、かっこ内は前年同期比増減率%、配当のかっこ内は前期実績、※は損失)

(2012年11月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ