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原爆病院を大改修 新棟も建設 128億円かけ1月から

 広島赤十字・原爆病院(広島市中区)は来年1月から、過去最大規模の改修工事に入る。現在は駐車場の東側玄関前に、免震構造の11階建て新棟を建設。救急や高度医療を充実させる。既存の施設も改装し、総事業費は約128億円。2017年2月末に新装オープンする。

 新棟は延べ約2万3500平方メートル。1~3階に救急外来や手術室、集中治療室(ICU)を集約。屋上に大規模災害時に対応するヘリポートを初めて設ける。改修に伴い、敷地東側のメーン玄関を西側に移す。

 敷地2・3ヘクタールにある主要6棟のうち、耐震基準を満たしていない3号館(4階建て)、5号館(6階建て)、別館(3階建て)の計3棟は解体する。3、5号館跡は平面駐車場、別館跡には5階建ての立体駐車場を整備。駐車台数は現在の213台から約310台に増やす。

 病室は既存の本館と6号館、新棟のいずれも5~8階に配置する。ベット数は計545床で、個室を増やすなどするため現在の646床からは減る。

 工事は別館の解体と立体駐車場の建設から始まり、13年10月から新棟を着工。新棟完成後、本館の改装や3、5号館の解体に入る。

 敷地の東端にあり、原爆の爆風でゆがんだ旧本館の窓枠のモニュメントは、約140メートル南西の日本赤十字社広島県支部の敷地に、モニュメント周辺の慰霊碑と併せて移す。

 石田照佳院長は「高度専門医療を担う機動的な病院にリニューアルし、地域の中核病院の役割を果たしたい」と話している。(藤村潤平)

広島赤十字・原爆病院
 1939年に日本赤十字社広島支部病院として開設。43年に広島赤十字病院に改称した。56年、広島の被爆者医療の拠点となる広島原爆病院を併設。88年に両病院を統合し現名称に。爆心地から1・5キロにあった旧本館を93年に取り壊した際には爆風でゆがんだ窓枠をモニュメント化。市の被爆建物の保存・継承事業補助制度の適用第1号となり、3千万円が助成された。

(2012年11月2日朝刊掲載)

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