×

ニュース

毒ガス語り継ぐ大久野島の映像 安浦出身 関西大の光山さん卒業制作

市民団体や遺跡を取材

 呉市安浦町出身で関西大社会学部4年の光山竜之介さん(22)が、竹原市忠海町の大久野島にあった旧日本陸軍の毒ガス製造工場の歴史を伝えるドキュメンタリー映像を作っている。「負の遺産」の記憶継承に役立てる。(山田祐)

 工場で働かされていた元工員男性と、被害者の証言の継承活動を手掛ける市民団体「毒ガス島歴史研究所」の山内正之事務局長(73)にインタビューした。島に残る貯蔵庫跡や発電場跡など関連遺跡の映像も撮った。テロップやナレーションを加え、今月末までに約25分間に編集する。

 光山さんは安浦町の実家から竹原高に通った。入学直後のオリエンテーションで島を訪ね、初めて毒ガス製造について知った。「原爆被害の印象が強かったが、県内で加害の歴史もあると知り衝撃を受けた」と振り返る。

 大学ではドキュメンタリー制作を手掛けるゼミに入った。卒業制作のテーマとして大久野島の歴史を選んだ。インターネットで山内事務局長を知って、協力を依頼。元工員男性の紹介も受けた。大阪の自宅から島や対岸の忠海地区まで、自費で計7回訪れた。

 作品は卒業後、同大が秋に開く映像祭への出品を目指す。DVDにして配ることも検討している。光山さんは「ウサギで有名な島に、実は戦争の悲しい歴史がある。これを多くの人が知る入り口になればうれしい」と話している。

(2017年12月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ