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[核なき世界への鍵] 条約署名 56ヵ国・地域に 被爆者ら各国に働き掛け

 7月に国連で採択された核兵器禁止条約は、9月20日の署名開始からの3カ月で、核兵器を持たない56カ国・地域が署名した。各国内での議会承認など同意手続きを経て50カ国が批准すれば発効する。条約制定に貢献した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞を弾みに、被爆者団体やNGOは各国に署名、批准を働き掛ける構えだ。

 核兵器に関する行為を全面的に禁じる初の国際条約は、3月と6~7月に米ニューヨークの国連本部で開かれた会議での議論を経て、7月7日に122カ国・地域の賛成で採択された。9月中に、交渉を主導したオーストリアやメキシコなど53カ国・地域が署名。今月8日、ジャマイカなど3カ国が加わった。

 すでに批准したのはガイアナ、バチカン、タイの3カ国。バチカンは国連加盟国(193カ国)ではない「オブザーバー国家」だが、条約体制には「締約国」として加わるとみられる。

 ただ、核兵器を持つ国や「核の傘」を求める日本などは条約に反発したまま。推進側には、未署名の条約賛成国の切り崩しに警戒感がある。ICANは101カ国468加盟団体のつながりを生かし、2018年内の早期発効を目指して条約の意義の周知や政府・国会への要請を強める。

 日本被団協は、核兵器を禁止し廃絶する条約締結を全ての国に迫る「ヒバクシャ国際署名」を推進し、10月までに国連に約515万5千筆を提出。二つの広島県被団協も県生協連などと連携して取り組む。国際署名の呼び掛け人の一人、被爆者のサーロー節子さん(85)=広島市南区出身、カナダ・トロント市=の平和賞受賞演説もアピールし、市民に賛同を呼び掛ける。(水川恭輔)

(2017年12月29日朝刊掲載)

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