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原発重点区域 近藤安来市長に聞く 避難基準 国は詳細説明を

 原子力規制委員会が原発事故に備える原子力災害対策重点区域を30キロ圏に拡大し、中国電力島根原発(松江市鹿島町)周辺では新たに5市が対象エリアとなった。このうち島根県安来市の近藤宏樹市長(67)は「住民の安全確保には、避難の基準などより詳細な説明が必要」と注文。中電に求めている立地自治体並みの安全協定締結は「事故の危険がある以上、当然の権利」と主張した。(樋口浩二)

 ―重点区域となった点をどう評価しますか。
 あくまで防災の第一歩だ。要援護者たち災害弱者の避難や、交通渋滞、操業中の企業の避難…。課題はまだ山積みだ。国策として原発を維持する以上、国が責任を持って具体的な道筋を示すべきだ。

 福島第1原発事故をみても、放射性物質の影響は長年続く。避難後の暮らしをどうケアするかも課題だ。

 ―市としてできることは。
 担当職員を4月から1人増員し、避難先の岡山県と調整を進めている。ただ事故後の生活補償、避難道路の整備、職員育成などは国が主導すべきことだ。1市では限界がある。

 ―県、松江市と同等の安全協定の締結を中電に求めています。
 締結すればそれだけ責任も負う。その覚悟で要望している。事故の危険があるのに(原発増設時の事前了解など)重要な局面で話し合いにも参加できないのはおかしい。締結できれば市民や議会、経済界など幅広く意見を聞き、市として判断を下したい。

こんどう・ひろき
 安来市議などを経て2008年10月、安来市長選に初当選。12年10月に再選し、現在2期目。法政大法学部卒。安来市出身。

(2012年11月2日朝刊掲載)

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