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卒論で被爆者に聞き取り 津田塾大生 「つらい過去」テーマ

 津田塾大4年の三沢里奈さん(23)=東京都小平市=は10月30日~11月1日、卒論を書くため広島を訪れ、被爆者4人に聞き取り調査した。「自身の体験を話すことで、過去を受け入れられるか」がテーマ。つらい過去をどのように乗り越えたかも含めて調べている。

 8歳で被爆し、母と祖母を亡くした三好妙子さん(76)=広島県府中町=からは「年月がたち、生活が人並みに落ち着いたから話せるようになった」と聞いた。原爆孤児になり、今も体験を話さない三好さんの夫については「よほどつらくて思い出したくなく、原爆を許せないんだろう」との説明を受けた。

 三好さんを含む4人とも、第三者に体験を話すことはあっても、被爆者同士で語り合うことはなく子どもに説明している人も少ないという。「傷ついた人同士より、第三者からの同意や共感を求めているのではないか」と三沢さん。運命と諦めることで、自分自身に折り合いをつけ、つらい過去を受け入れたのでは、と分析する。

 三沢さんの祖父(77)は広島市打越町(現西区)に住んでいたが、広島県北に集団疎開していたため被爆を免れた。しかし自宅は焼け、曽祖母と大伯母は入市被爆。三沢さんは「自分も被爆3世になっていたかも」と関心を持ち調査を始めた。今後は東京の被爆者への聞き取りも進め、12月には卒論にまとめる。(二井理江)

(2012年11月5日朝刊掲載)

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