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広島銀、慰霊碑公開へ 本店建て替え 1階に移設方針

 広島市中区紙屋町の本店建て替え計画を進めている広島銀行は、原爆で亡くなった役職員たちを悼む慰霊碑を、新本店ビルの1階に設置する方針を固めた。これまでは屋上に置いていた。多くの人に公開し、市民に平和を伝えるとともに、金融面で復興を支えた歴史を語り継ぐ。

 慰霊碑は、石碑の上に4人が協力する姿を抽象化したブロンズ像を据えたデザインで、高さ約2メートル。1968年、本店の屋上に設けた。昨年末、南区西蟹屋の仮店舗へ一時的に移しており、新本店が完成する2021年1月にも1階へ据え付ける。日本語や英語で説明文も掲示し、来店客だけでなく観光客にも訪れてもらえるようにする。

 本店は、爆心地から約260メートル東にある。前身の芸備銀行時代に惨禍に遭い、役職員144人が亡くなった。壊滅的な被害の中で、2日後の8月8日に営業を再開し、人々が生活を取り戻す原動力となった。

 毎年8月6日に役員たちが慰霊碑に参拝してきた。新入行員には、原爆で印鑑や通帳を失った顧客にも預金の引き出しに応じた当時のエピソードなどを伝えている。ただ慰霊碑は屋上にあるため、行員以外は訪れる機会が少なかった。

 池田晃治頭取は「慰霊碑は原爆を乗り越えた銀行のDNAを象徴している。新本店で毎日見える所に置いて、広島で金融の役割を果たす思いを伝えたい」としている。(川上裕)

(2018年1月6日朝刊掲載)

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