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平和首長会議 未加盟残り25 国内の市区町村 100%達成へ働き掛け強化

 世界各都市の連帯により核兵器のない世界を目指す平和首長会議(会長・松井一実広島市長)で、未加盟の日本の市区町村は25となり、国内加盟率100%達成に向けカウントダウンに入った。事務局の広島平和文化センター(中区)は働き掛けを強めている。

 世界平和連帯都市市長会議として1982年発足。平和市長会議を経て2013年に今の名前になり、今月1日時点で162カ国・地域の7536都市が加盟している。各国で核兵器禁止条約の締結を進めて20年までの核兵器廃絶を実現する「2020ビジョン」を掲げ、署名や各都市の市民への啓発などで連携する。

 国内の加盟は08年から受け付け、順調に拡大。今月1日も8市町村が加入し、国内全1741市区町村の98・6%に当たる1716まで増えた。

 同センターは07年度から毎年度、未加盟自治体に加盟を要請する文書を送付。09年度からは職員が順次、訪問している。訪問先の加入率は高く、結果的に広島から遠隔地の未加盟が目立つ。

 未加盟の9都道府県25市区町村のうち、沖縄県の嘉手納、本部両町には17年夏以降、同センターが初めて電話で会議の趣旨などを説明。両町とも18年度中の加盟へ検討を始めた。嘉手納町の担当者は「電話連絡が来るまで意識していなかった。町として平和行政に力を入れており、会議の理念に賛成している」と言う。

 一方、本部町の担当者は「経費節減をしている中、会費負担は難しいと判断していた」と話す。同センターから納付金(年2千円)は強制でないと説明され、後押しになったという。

 ただ、現時点で加盟予定のない自治体もある。東京都中野区の田中大輔区長は17年9月の区議会で、区の考えが会議内でどう扱われるか不明とし、加盟は「平和の理念の実現に向けた区の意思」の発信に適切でない、との持論を述べた。

 長崎県佐世保市では市議会が12年、加盟を求める請願を「米軍・自衛隊などの国の施策と歩調を合わせる必要もある」として否決。16年の市議会で、朝長則男市長は「合意形成ができていない」とし、加盟を見合わせる考えを示した。

 同センターの岩本和恵・2020ビジョン推進担当課長は「未加盟都市にも、会議の掲げる平和の理念はおおむね理解されている。加盟により自治体の活動が縛られるといった誤解は粘り強く解消したい」と話している。(城戸良彰)

(2018年1月7日朝刊掲載)

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