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核は悲しみの源 歌で未来笑顔に 東区の瀬戸さん 15日ICAN事務局長と対面

独自の平和活動を追求

 広島市で15日にある非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のフィン事務局長と若者との対話集会に、東区の瀬戸麻由さん(26)が臨む。呉市出身。東京での会社勤めを経て2017年に広島市へ戻り、独自の平和活動を模索中だ。ICANのノーベル平和賞受賞を機に、被爆地に新風を吹かせようとしている。(城戸良彰)

 平和を語らう中区土橋町のカフェ「ハチドリ舎」で働きながら、シンガー・ソングライターとして活動。自ら作詞作曲した「Colorful World」(カラフル・ワールド)を17年8月から米アップル社の「iTunes」で有料配信している。

 歌詞では「大好きな景色を一瞬で奪う」核兵器を「悲しみの源」と表現。一人一人の平和への歌声は「波間にかき消えるよう」だが、「海の向こうから重なり広がる」ことで「未来に笑顔があふれるように」と願う。

 早稲田大3年だった13年、ICAN加盟のNGOピースボート(東京)が募った「おりづるユース特使」に選ばれた。被爆者と世界一周する「証言の航海」に同行し被爆者を支えた。「証言を聞くだけでなく伝える側に回りたかった」。旅で感じた悲しみや希望、被爆者への感謝の気持ちを洋上で歌にした。

 15年に卒業後、自分なりの平和活動を探すため、あえて活動から離れ、東京の結婚式プロデュース会社に就職。しかし、被爆の記憶が薄れる世の中への危機感が募り、「自分の経験を広島で生かしたい」との思いもあって17年3月に退職。知人が同7月に開いたハチドリ舎で働くことになった。

 自作曲で当時の感動を共有し、平和を話題にしてもらおうと考えたが、購入数は100件ほど。「まずは私の顔を知っている人から」。地道に仲間を増やしていくつもりだ。

 広島国際会議場(中区)であるフィン氏との対話集会では、市内の高校生や大学生3人と共に登壇する。具体的に広島でどう行動すれば核兵器廃絶につながるのか―。「平和活動の先頭を走る女性との対話で今後の方向性がひらめくかも」と期待する。

    ◇

 対話集会は午後1時半~4時半で聴講無料。10日まで、広島平和文化センター平和連帯推進課が電子メールか電話、ファクスで申し込みを受け付ける。同課☎082(242)7821=平日のみ。

(2018年1月8日朝刊掲載)

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