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米軍再編 「広島県に交付金を」 湯崎知事 低空訓練容認は否定

 在日米軍再編に伴う米軍岩国基地(岩国市)への艦載機移転を巡り、広島県の湯崎英彦知事は9日の記者会見で、基地の立地県である山口県に限って国が支給している交付金について、広島県にも支給すべきだとの見解を示した。米軍機の低空飛行訓練については「県民の生活する場で行わないでほしい」とし、学校などの上空での訓練は容認しない考えを改めて強調した。

 国は、再編で基地の地元負担が増えるとし、都道府県では山口県だけに交付金を支給。同県内では地元の岩国市と近接の和木町、周防大島町に再編交付金を出している。一方、広島県側は岩国市と県境で接する大竹市だけが再編交付金の対象となっている。

 湯崎知事は「山口は県と市町に交付金があり、対策を講じている。広島は大竹市にはあるが、県にはない」と指摘。米軍岩国基地所属とみられる米軍機が広島県内で頻繁に低空飛行訓練をしている現状を踏まえ、交付金の活用で騒音被害対策などを進めることが可能とした。

 湯崎知事は昨年12月26日の記者会見で、自治体への国の財政支援に関し「(基地からの)距離や訓練地域を勘案してほしい」と発言。同月28日に山口県の村岡嗣政知事が「(広島県から)提案があれば中国地方知事会で議論したい」と応じていた。湯崎知事はこの日、「県域や市町域を越えた連携が重要。どう取り組むか検討したい」と述べた。

 一方、廿日市市の市民団体は「交付金は受け取るべきではない」とし、湯崎知事宛てに昨年12月の発言撤回を求める要請文を提出している。この動きについて、湯崎知事は「国の責任による対策が必要。低空飛行訓練の実施を受け入れるということではない」と発言の意図を説明した。(胡子洋)

(2018年1月10日朝刊掲載)

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