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対象区域外での放射線被害訴え 「黒い雨」訴訟 原告側

 広島の原爆投下後の「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの75人が、市と県に却下処分の取消を求めた訴訟の口頭弁論が10日、広島地裁であった。原告側は、専門家の意見書などを基に、国の援護対象区域外でも黒い雨による放射線被害が出ていると訴えた。

 矢ケ崎克馬琉球大名誉教授(物性物理学)は意見書で、黒い雨を降らせた雲は半径約18キロに広がり、北北西に風で流されたとした上、援護対象区域の約6倍の範囲で黒い雨が降ったと指摘。「黒い雨領域の誤った判断と内部被曝(ひばく)を無視した現行の健康手帳の認定のあり方は、誤った判断の上に成り立っている」と是正を求めた。

 さらに原告側は準備書面で当時、水内村、上水内村(いずれも現広島市佐伯区湯来町)に住んでいた原告14人について「下痢や脱毛などの急性症状があった」「肝臓や呼吸器の機能障害がある」などと述べ、黒い雨との因果関係も主張した。

(2018年1月11日朝刊掲載)

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