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旧日銀広島支店の一部活用 博物館の開館延期 19年度に

 広島市が、被爆建物の旧日本銀行広島支店(中区)の一部を活用した博物館の開館時期を2018年度から19年度へ延期する見通しであることが12日、分かった。市によると、17年度から始める建物の復元改修工事に合わせて整備する予定だったが、工事が入札の不調で遅れているためという。

 市の計画では、鉄筋3階地下1階の建物の2、3階を博物館に活用。海外移民の歴史や被爆前後の市民の暮らしを紹介する資料を常設展示する。1980年代に描いた博物館建設構想に基づき、農具や写真などの寄贈を受けたが、その後の財政難で同構想が凍結。資料の有効活用が課題となっていた。

 一方、市は36年建築の同支店を、内部の被爆の痕跡を残しつつ、被爆からの復旧工事直後の50年代の姿に戻す。国重要文化財の指定を目指すが、国史跡への指定申請も検討している。

 計画では17年度に着工し、1~3期に分けて3カ年で完成。常設展示はこの改修に合わせて、18年度から順次進める予定だった。しかし、昨年10月に実施した3階などを改修する1期工事の指名競争入札が2度とも予定価格を上回り不調。市は17年度内に3度目の入札をして業者を決める方向で調整しているが、予算は18年度に繰り越す見込み。

 市は現在、展示計画を作成中。開館後は学芸員の資格を持つスタッフも配置する。市文化スポーツ部は「開館が延びる分、展示内容やPRの手法をしっかりと考えたい」としている。(渡辺裕明)

(2018年1月13日朝刊掲載)

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