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原爆症認定 大阪高裁判決で新基準の不備を指摘

制度改正 国に要請 日本被団協など

 兵庫県と京都府の被爆者6人に関する原爆症の認定申請を国が却下した処分に対し、本人や遺族が取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、甲状腺機能低下症の3人を原爆症と認めた2015年の一審大阪地裁判決を支持、双方の控訴を棄却した。

 高橋譲裁判長は原爆症認定の新基準の不備を指摘。被ばく線量の推定方法について「科学的根拠はあるが適用には一定の限界があり、線量を過小評価している疑いがある」とし、内部被ばくの可能性に言及した。

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 日本被団協などは16日、国が2013年末に見直した原爆症認定の新基準で対象外とされた被爆者3人を原爆症と認めた一審判決を支持した大阪高裁の控訴審判決を受け、認定制度の改正と、認定訴訟を起こす全国の被爆者全員の救済を厚生労働省に要請した。

 大岩孝平代表理事や全国弁護団連絡会のメンバーたち6人が厚労省を訪問。被爆者6人のうち3人を原爆症と認めた高裁判決が「(国の)認定基準が誤っていることを明確にした」と指摘した上で、認定制度を抜本的に見直し、同様の訴訟を起こす全ての被爆者を認定するよう求める文書を担当職員に手渡した。

 日本被団協は、全ての被爆者健康手帳所持者に手当を支給し、病気の程度に応じて加算する制度に変えるよう国に提案している。要請後の記者会見で、大岩代表理事は、高裁判決が3人の原爆症を認めなかった点を踏まえ「被爆者が裁判をする必要がない制度に改めるべきだ」と強調していた。(野崎建一郎)

(2018年1月17日朝刊掲載)

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