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オバマ大統領再選 遠い非核 2期目こそ ヒロシマ 期待といら立ち

 米国のオバマ大統領が激戦を制し、再選された。広島の被爆者や関係者には7日、オバマ氏が掲げる「核なき世界」の実現に寄せる切実な思いと、核軍縮が進まない現状へのいら立ちが交錯した。

 広島県被団協の坪井直理事長(87)は「オバマ氏のノーベル平和賞受賞は核兵器廃絶を求める世界の願いの表れ。期待を裏切ってはならない」と述べ、核軍縮の先頭に立つよう求めた。

 核兵器廃絶への期待が大きく膨らんだ4年前。「就任当初に期待したほど大胆な核軍縮の動きは見られなかった」と、もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(72)は話す。「核兵器に依存する米国の体質は変わっていない。2期目は踏み込んだ施策を」と訴えた。

 18歳の時、広島市西区で被爆した米国広島・長崎原爆被爆者協会の据石(すえいし)和会長(85)=米カリフォルニア州=は「誰もが安心して暮らせる核のない世界を実現するため、いつか広島と長崎を訪ねてほしい」と期待を寄せた。

 広島市の松井一実市長、広島県の湯崎英彦知事もそろって広島訪問を求めた。

 その上で、松井市長は「平和への思いを理解し、核兵器のない世界を実現するよう一層の努力を」と注文。湯崎知事は「包括的核実験禁止条約(CTBT)批准や多国間協議の実施など核兵器廃絶への新たな動きを期待している」と話した。

 広島修道大の佐渡紀子准教授(39)=国際安全保障=は「今後、オバマ氏が核軍縮の方針を修正するようなことがあれば、機運は一気に薄れる。さらに具体的な政策を打ち出せるか真価が問われる」と指摘した。(田中美千子、野崎建一郎)

(2012年11月8日朝刊掲載)

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