オバマ大統領に核廃絶推進訴え ヒロシマの会が手紙
09年1月26日
■記者 水川恭輔
広島の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は22日、オバマ米大統領に核兵器廃絶への取り組みの推進や広島訪問を求める手紙を送ったと発表した。広島市役所で森滝春子共同代表らが記者会見した。
手紙では「核兵器のない世界」を掲げた新大統領の選挙公約に共感の意を表し、核兵器廃絶に向けて先頭に立つよう求めた。
さらにインドとの原子力協力協定の見直しや2020年までの核兵器廃絶を目指す平和市長会議の取り組みを政策に生かすことなどを求め、「被爆者が生あるうちに核廃絶が実現することを切望する」と締めくくった。
森滝さんは「核兵器廃絶にはオバマ大統領1人では壁がある。ヒロシマからの連帯のメッセージが支えになれば」と期待していた。
(2009年1月23日朝刊掲載)
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広島の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は22日、オバマ米大統領に核兵器廃絶への取り組みの推進や広島訪問を求める手紙を送ったと発表した。広島市役所で森滝春子共同代表らが記者会見した。
手紙では「核兵器のない世界」を掲げた新大統領の選挙公約に共感の意を表し、核兵器廃絶に向けて先頭に立つよう求めた。
さらにインドとの原子力協力協定の見直しや2020年までの核兵器廃絶を目指す平和市長会議の取り組みを政策に生かすことなどを求め、「被爆者が生あるうちに核廃絶が実現することを切望する」と締めくくった。
森滝さんは「核兵器廃絶にはオバマ大統領1人では壁がある。ヒロシマからの連帯のメッセージが支えになれば」と期待していた。
(2009年1月23日朝刊掲載)
第44代アメリカ合衆国大統領バラク・フセイン・オバマ様
アメリカ合衆国大統領へのご就任、ヒロシマより心をこめて、お祝い申し上げます。核兵器のない世界平和を追求してきた広島の市民グループである「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は、これからの4年間、合衆国と世界の政治と経済の舵取り役を担うことになった貴台のリーダーシップに大きな期待を寄せており、 すべての人びとの自由と人権と福祉が保障され、世界の平和と民主主義が強化されることを心より希求するものであります。
とりわけ、あなたが選挙公約で掲げた「核兵器のない世界」は人類が生き残るための重要な共通の課題であり、ヒロシマから共感の意を表します。
貴台が掲げた「変化」は、まさに米国にとっても世界にとっても必要な課題であり、米国市民も世界市民も心底から「変化」を望んでおり、この「変化」なくして私達は未来に希望を抱くことはできません。
「9・11」事件に端を発したブッシュ政権の「対テロ戦争」は誤りだったと英国の閣僚も指摘していますが、「対テロ戦争」を口実にして国連の承認もないまま合衆国が強行したアフガニスタン戦争やイラク戦争は諸問題をさらに悪化させただけであり、世界を困難に陥れている諸問題の根源に迫るものではなく、解決からは程遠いものでした。その結果、世界の状況は悪化の一途をたどり、金融恐慌にも見舞われて、21世紀最初の10年間は自由と人権と福祉が限りなく後退し、世界の繁栄と平和と民主主義に大きな暗雲が垂れ込めたのでした。
特に、私達は、広島市民として、核兵器が米ロ英仏中5カ国の所有にとどまらず、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮へと拡散し、いままた、イランへと広がる危険性があることを憂慮しております。64年前のヒロシマ・ナガサキの惨状を想起するならば、核兵器がどれほど残虐極まりない非人道的兵器であるかは多言を要せず、核兵器使用の非人道性については国際司法裁判所の勧告的意見によってもすでに周知の通りであります。このような「悪魔の兵器」を廃絶することは広島・長崎の被爆者および市民の熱い願いであるだけでなく、世界の指導国であることを自認する合衆国に課せられた最大の責務であり、合衆国が率先して核兵器廃絶の先頭に立たない限り、核兵器のさらなる拡散を避けることは不可能であります。
オバマ大統領に、まず期待したいのは、「新しい核弾頭を作らない」という公約を貫きつつ上院でのCTBT批准を果たし、NPT体制を堅持するために米印原子力協定を見直し、米ロ関係の緊張危機緩和のために欧州のMD配備中断を決断し、核兵器と同じく深刻な放射能被害をもたらしている劣化ウラン兵器の使用を即時中止し、核の先制不使用および非核保有国への核兵器不使用の約束をされることです。
私達は、ヘンリー・キッシンジャー氏ほかの合衆国元高官が08年1月と09年1月に合衆国の有力紙『ウォールストリート・ジャーナル』へ2回にわたって寄稿した「核兵器のない世界をめざして」という論文の趣旨に全面的に賛意を表します。同時に、私達は、秋葉忠利広島市長が会長である世界の「平和市長会議」が提唱する「2020ビジョン」による核兵器廃絶運動も全面的に支持するものであり、貴政権がこれらの核兵器廃絶の提言を斟酌され、合衆国の新しい政策の中で活かされますよう切願しております。
貴政権の発足に当たり、イラクおよびアフガニスタンからの米兵撤退はもとより、パレスチナにおける不毛な戦争に終止符を打ち、戦争と人権侵害のない、そして核兵器の恐怖から解放された真に平和な世界の実現に尽力されますよう、心よりお願いするものであります。
核戦争による未曾有の体験から、ヒロシマは「核と人類は共存できない」という教訓を得ました。被爆者は高齢化しており、生あるうちに核廃絶が実現することを切望しています。
核大国アメリカの大統領として、ヒロシマを訪れる初めての大統領となり、かつ核兵器廃絶に具体的な成果を挙げ、人類史にその名を残されるよう期待いたします。
2009年1月22日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
共同代表 岡本三夫、河合護郎、森瀧春子
アメリカ合衆国大統領へのご就任、ヒロシマより心をこめて、お祝い申し上げます。核兵器のない世界平和を追求してきた広島の市民グループである「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は、これからの4年間、合衆国と世界の政治と経済の舵取り役を担うことになった貴台のリーダーシップに大きな期待を寄せており、 すべての人びとの自由と人権と福祉が保障され、世界の平和と民主主義が強化されることを心より希求するものであります。
とりわけ、あなたが選挙公約で掲げた「核兵器のない世界」は人類が生き残るための重要な共通の課題であり、ヒロシマから共感の意を表します。
貴台が掲げた「変化」は、まさに米国にとっても世界にとっても必要な課題であり、米国市民も世界市民も心底から「変化」を望んでおり、この「変化」なくして私達は未来に希望を抱くことはできません。
「9・11」事件に端を発したブッシュ政権の「対テロ戦争」は誤りだったと英国の閣僚も指摘していますが、「対テロ戦争」を口実にして国連の承認もないまま合衆国が強行したアフガニスタン戦争やイラク戦争は諸問題をさらに悪化させただけであり、世界を困難に陥れている諸問題の根源に迫るものではなく、解決からは程遠いものでした。その結果、世界の状況は悪化の一途をたどり、金融恐慌にも見舞われて、21世紀最初の10年間は自由と人権と福祉が限りなく後退し、世界の繁栄と平和と民主主義に大きな暗雲が垂れ込めたのでした。
特に、私達は、広島市民として、核兵器が米ロ英仏中5カ国の所有にとどまらず、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮へと拡散し、いままた、イランへと広がる危険性があることを憂慮しております。64年前のヒロシマ・ナガサキの惨状を想起するならば、核兵器がどれほど残虐極まりない非人道的兵器であるかは多言を要せず、核兵器使用の非人道性については国際司法裁判所の勧告的意見によってもすでに周知の通りであります。このような「悪魔の兵器」を廃絶することは広島・長崎の被爆者および市民の熱い願いであるだけでなく、世界の指導国であることを自認する合衆国に課せられた最大の責務であり、合衆国が率先して核兵器廃絶の先頭に立たない限り、核兵器のさらなる拡散を避けることは不可能であります。
オバマ大統領に、まず期待したいのは、「新しい核弾頭を作らない」という公約を貫きつつ上院でのCTBT批准を果たし、NPT体制を堅持するために米印原子力協定を見直し、米ロ関係の緊張危機緩和のために欧州のMD配備中断を決断し、核兵器と同じく深刻な放射能被害をもたらしている劣化ウラン兵器の使用を即時中止し、核の先制不使用および非核保有国への核兵器不使用の約束をされることです。
私達は、ヘンリー・キッシンジャー氏ほかの合衆国元高官が08年1月と09年1月に合衆国の有力紙『ウォールストリート・ジャーナル』へ2回にわたって寄稿した「核兵器のない世界をめざして」という論文の趣旨に全面的に賛意を表します。同時に、私達は、秋葉忠利広島市長が会長である世界の「平和市長会議」が提唱する「2020ビジョン」による核兵器廃絶運動も全面的に支持するものであり、貴政権がこれらの核兵器廃絶の提言を斟酌され、合衆国の新しい政策の中で活かされますよう切願しております。
貴政権の発足に当たり、イラクおよびアフガニスタンからの米兵撤退はもとより、パレスチナにおける不毛な戦争に終止符を打ち、戦争と人権侵害のない、そして核兵器の恐怖から解放された真に平和な世界の実現に尽力されますよう、心よりお願いするものであります。
核戦争による未曾有の体験から、ヒロシマは「核と人類は共存できない」という教訓を得ました。被爆者は高齢化しており、生あるうちに核廃絶が実現することを切望しています。
核大国アメリカの大統領として、ヒロシマを訪れる初めての大統領となり、かつ核兵器廃絶に具体的な成果を挙げ、人類史にその名を残されるよう期待いたします。
2009年1月22日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
共同代表 岡本三夫、河合護郎、森瀧春子
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オバマ氏来訪求め書簡 元原爆資料館長の高橋昭博さん (09年1月15日)
オバマ氏に広島訪問を要請 被爆者7団体 (09年1月 8日)
「オバマさん、被爆地に来て」 日米の若者が実現に連携 (09年1月 8日)