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修学旅行誘致 関東に力 広島市方針 専任職員配置へ

 広島市への修学旅行生を増やそうと、市が学校の多い関東圏で重点的な誘致活動を始める方針を固めた。関東圏担当の専任職員を配置し、現地の教員向けに平和関連の事前学習の講習会も開催。広島訪問を働き掛ける。少子化の中、次世代を担うより多くの若者に被爆の実態に触れてもらう狙い。2018年度当初予算案に関連事業費を盛り込むとみられる。

 「関東圏修学旅行誘致推進員」として常勤職員1人を配置。修学旅行に精通した旅行会社出身者を起用し、東京を拠点に1都6県の中学や高校、旅行会社を訪問して誘致活動をする。市は04年度から本庁に修学旅行担当職員を3人配置して全国で誘致を進めてきたが、今回は地域を限定して、てこ入れする形だ。

 少子化を背景に市内への修学旅行生は伸び悩む。16年度は32万2529人で、ピークの1985年度の57万3072人から4割減。市は、広島を訪れる若者が減れば被爆の記憶の風化や平和意識の低下などが進むと懸念する。関東圏の中学、高校生は他地域と比べて市を訪れる人数は多い。ただ、圏域全体からみると約7%にとどまり、掘り起こす余地がある。

 また、関東圏の学校への聞き取りで、広島を修学旅行先に選択していない理由の一つに、事前の平和学習の難しさがあるという。このため、関東圏の教員を対象に、平和学習の指導法などを説明する講習会を開催。市教委の職員を講師として派遣する考えだ。

 全国修学旅行研究協会(東京)は「観光PRとの兼務ではなく、修学旅行の誘致に特化した職員を地域を限って置く自治体は珍しいのでは」と説明。「関東の学校の多くは京都や奈良を訪れる。オバマ前米大統領の訪問後、広島への関心は高く、開拓できる可能性はある」としている。(渡辺裕明)

(2018年2月1日朝刊掲載)

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