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島根原発長期停止 核燃料税 本年度もゼロ 島根県

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の運転に伴って中電から島根県に支払われる核燃料税が、2011年度に続き12年度もゼロとなる見通しとなった。福島第1原発事故を受け、定期検査中の1、2号機と建設中の3号機が年度内に稼働する可能性が事実上消えたためだ。減収額は両年度で60億円以上に上り、課税方法の見直しを求める声も上がっている。(樋口浩二)

 核燃料税は新燃料を原子炉に挿入する燃料装槇(そうてん)を受け、県が燃料価格の13%を中電から徴収する。原子力規制委員会が原発稼働の条件として改正する原子炉等規制法の施行は「来年7月」。中電が「規制委の安全基準に従う」とする以上、1、2号機の再稼働、3号機の新規稼働はあっても13年度以降となる。12年度のゼロ収入が決定的となった。

 特に、出力が大きく多量の燃料が装槇される3号機の稼働は税収への影響も大きい。11年度は当初、3号機が稼働する前提で、県税収入全体の7・4%を占める43億円の収入を見込んでいた。

 12年度は「稼働時期が見通せない」(財政課)として一般会計当初予算への計上を見送った。ただ、10~14年度の試算では年間平均で約21億7千万円の税収を見込んでおり、11、12の両年度で計64億7千万円の減収となる計算だ。

 全国の原発立地県では福島の事故以降、税収を安定的に確保する目的で福井、青森、石川の3県が停止中の原発にも課税する方式に改めた。県の財政状況を審議する改革推進会議の委員には「貴重な税収だけに確実に徴収する方法を検討すべきだ」との指摘もある。

 県税務課は「原発の稼働があいまいな段階で、課税方式を変える議論はしにくいのが実情」としている。

核燃料税
 避難道路の建設など原発立地に伴う安全対策に充てる費用として、県が中電から徴収する普通税。条例を定めた1980年度以降の33年間で計約166億円を徴収した。5年ごとに中電と交渉して税率を見直しており、次期改定は2015年度。

(2012年11月14日朝刊掲載)

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