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オバマ大統領補佐官ホルドレン氏 広島を2回訪問

■編集委員 西本雅実

 オバマ政権の大統領補佐官(科学技術担当)ジョン・ホルドレン氏(64)が、ヒロシマを訪れていた。科学者の立場から核兵器の廃絶を目指すパグウォッシュ会議が1995年と2005年に被爆地で開いた年次大会に参加し、講演や、原爆資料館で記帳もしていた。補佐官登用は、核軍縮に前向きなオバマ新大統領の考えの表れといえ、政策形成にも重要な役割を担うとみられている。

 ホルドレン氏は就任前は米ハーバード大教授で環境政策が専門。パグウォッシュ会議(本部ロンドン)のサイトによると73年から会議に参加し、87年から10年間にわたり評議委員長を務めた。

 被爆地で初めて開いた95年の大会では、「核兵器と戦争の廃絶を訴える」広島宣言をまとめた。この年に会議がノーベル平和賞を受賞すると代表して、「冷戦終結後の軍縮と平和構築」をテーマに受賞記念講演もした。

 さらに2005年の被爆地での年次大会で「核“ゼロ”への道」と題した講演を行い、米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准やロシアとの核兵器削減を推し進め、非核保有国の日本とドイツ、ブラジルの国連常任理事国入りなどを提唱。「核兵器禁止の目標を定めるべきであり、それには米国の指導力と世論の支持が不可欠だ」と訴えた。

 会議で広島での被爆体験を証言したこともある名古屋大名誉教授の沢田昭二さん(77)は「オバマ新大統領は選挙戦でCTBT批准を訴えるなど核戦略の転換を期待させる。被爆の実態にも触れたホルドレン氏は、来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて重要な役割を果たすと思う。日本の核政策も問われてくるだろう」とみている。

(2009年1月21日朝刊掲載)

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