×

ニュース

島根原発30キロ圏 27病院に避難計画要望 島根県 

 島根県は15日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の30キロ圏に立地する27病院に対し、原発事故に備えた避難計画を策定するよう要望を始めた。避難先となる中国地方4県の病院の割り当ては未定だが、まずは入院患者を院内で安全に誘導する態勢を整えてもらうことにした。(樋口浩二)

 この日、松江市で会議を開き、30キロ圏の松江、出雲、雲南、安来の4市にある19病院の担当者に説明した。担当者からは「診療科ごとに、きちんと移動ができるのか」「避難のタイミングをどう判断すればいいのか」といった不安の声が上がった。16日は、出雲市で残りの8病院に説明する。

 県は避難計画の中に、事故発生時の職員の役割分担や事故情報の伝達方法と手順を盛り込むよう伝えた。「放射性物質が漏れた場合でも焦らず、県と市の避難指示を待って比較的安全な屋内に待機する」(医療政策課)ことを基本的な考えとしている。

 27病院の入院患者は6月時点で5502人。県は、避難先とする県内の30キロ圏外と広島、山口、岡山県の病院と受け入れの調整を進めているが、決定の時期は見通せていない。輸送手段は県内のバスに加え、自衛隊のヘリコプターなどの支援も見込み、原発に近い病院から順に避難させる計画という。

 原発から2キロの鹿島病院(松江市鹿島町)を経営する医療法人公仁会の下瀬宏常務は「患者は高齢者ばかりで病院独自での避難は困難。行政の助けが欠かせない」と話していた。

(2012年11月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ