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官民出資 メガソーラー 広島県と中電子会社 県有地など活用へ

 広島県と中国電力の子会社が出資して有限責任事業組合(LLP)を設立し、使い道の決まっていない県有地など複数の場所に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を造る方針を固めたことが17日、分かった。最終的な合計出力は1万キロワット。第1期分として出資金と地元金融機関の融資で22億円を集めて県有地3カ所に建設し、2014年度に稼働させる。

 資源エネルギー庁などによると、都道府県と企業が共同出資でメガソーラーを建設するのは全国初。県は収益で県民の省エネの取り組みを後押しする。

 来年度整備する第1期分は、東広島市福富町(4・4ヘクタール)3500キロワット▽庄原市是松町(2・9ヘクタール)2300キロワット▽竹原市高崎町(0・8ヘクタール)800キロワット―で計6600キロワット。国の電力買い取り制度を利用し、発電した電気の全量を中電に売る。

 建設と運営を担うLLPは県が6億円、中電子会社のエネルギア・ソリューション・アンド・サービス(ESS、広島市中区)が3億円を出資して来年1月に設立する。第1期分の金融機関からの借り入れは13億円を予定する。

 残る3400キロワットは、県や市町の遊休地に建設する方針でいる。

 買い取り価格が1キロワット時当たり42円と決まっている20年間の売電収入から工事費や土地の賃借代など経費、融資の返済を差し引いた収益を県とESSで分配する。県には最終的に13億円入る見込みだ。

 県はこれを元手に省エネ家電の購入を補助したり、住民や自治体の省エネ活動を支援したりする。ESSも収益の一部を何らかの形で地域に戻すという。

 県が主体となるメガソーラーの整備は有識者検討会が10月に打ち出した。再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が固定価格で買い取り、電気料金に上乗せする制度について「発電事業者を国民が支えるという不公平感がある」と指摘。県自らが発電事業者となり、収益を地域に還元する仕組みが必要とした。(村田拓也)

有限責任事業組合(LLP)
 2005年に施行された有限責任事業組合法に基づく組織。業種や規模を超えた連携を企業などに促し、新たなビジネスや地域活性化につなげるのを目指す。①組合員は出資額の範囲内で責任を負う②取締役会といった監視機関が必要ないため素早い意思決定ができる③組合員2人以上、資本金2円から設立できる―などの特徴がある。

(2012年11月18日朝刊掲載)

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