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被曝調査 広島も協力へ 飯舘村帰還探るシンポ 福島

 福島第1原発の事故で全村避難を強いられている福島県飯舘村の現状と復興を考えるシンポジウムが18日、福島市内であった。広島の研究者も参加し、被爆地の知見を生かした分析を報告した。

 京都大原子炉実験所の今中哲二助教(広島市中区出身)たち世話人3人が9月に設立した飯舘村放射能エコロジー研究会が主催。村民や研究者たち約160人が参加した。

 日本大生物資源科学部の糸長浩司教授は、先が見えない避難生活に住民が強い不安を抱える現状に「集落ごとの村外移住も含め、将来的な『還住』につなげる長期戦略が必要だ」と提案した。

 今中助教は現地調査を基に「自然減などで放射線量が落ち着く5~10年後でないと帰還の議論は難しい。除染を最優先する今の在り方は性急だ」と指摘。広島大大学院工学研究院の遠藤暁准教授たちと初期被曝(ひばく)の実態解明に乗り出す考えも示した。

 広島大原爆放射線医科学研究所の大瀧慈教授たちは汚染の地理的な傾向などを紹介。今後の研究が「汚染の変動予測につながれば」と述べた。(山本洋子)

(2012年11月19日朝刊掲載)

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