×

ニュース

母校・中島小に本寄贈 疎開児童の会 「ゲン」など107冊

残る会費を未来のために

 原爆で家族を奪われた元児童たちでつくる旧中島国民学校集団疎開児童の会は23日、母校の現中島小(広島市中区)に平和に関する本を寄贈した。高齢化で活動の継続が困難になる中、後輩たちに戦争、原爆の悲惨さを学んでもらおうと、残る会費で購入した。(水川恭輔)

 同小図書室で寄贈式があり、会の世話人の諏訪了我さん(84)=中区=と梅野陽造さん(82)=同=が関和典校長に目録を渡した。「はだしのゲン」「戦争を知る絵本」などの107冊。図書室にコーナーが設けられ、寄贈を伝えるネームプレートが添えられた。

 1945年春、中島国民学校から約260人が今の三次市に疎開。ただ、多くの児童が爆心地に近い旧中島地区(現平和記念公園、中区)の自宅などで家族を亡くした。75年、有志67人が疎開先を訪れたのを契機に会がつくられたが、活動への参加者は数えるほどになったという。

 原爆で両親と姉を亡くした諏訪さんは「戦争になったら子どももお年寄りも渦に巻き込まれる。その悲惨さ、やりきれなさを学び、平和への思いを育んでほしい」と願う。寄贈式で児童を代表してあいさつした6年奥田百香さん(12)は「本を読み、二度と戦争は起こさないという先輩方の思いを未来につなげたい」と感謝した。

(2018年2月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ