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原爆と大震災 記憶をつなぐ 仙台の大学生 ヒロシマ学び地元で展示へ

3・11を前に

 2011年の東日本大震災を経験した仙台市の大学生たちが「継承」をテーマに被爆地広島を訪れ、あの日を語り継ぐ被爆者やボランティアの思いを学んだ。3・11の被災地と共通点を探し、原爆と震災の記憶を今後もつないでいく目的だ。この夏に仙台で開く原爆展で成果を発表したいという。(山本祐司)

 訪れたのは、宮城学院女子大3年の門馬礼音(あやね)さん(21)、千葉夏希さん(22)、石川祥江(さちえ)さん(21)。

 原爆資料館ピースボランティアを務める西村宏子さん(60)の案内を受け、平和記念公園を巡った。西村さんは被爆者のための住宅を建てた米国の故フロイド・シュモー氏を語り継ぐ「シュモーに学ぶ会」の代表でもある。「人の温かさによって人は癒やされる」との言葉に3人は聞き入った。

 門馬さんは中学2年だった7年前、仙台市の自宅で大地震を経験した。しかし大きな被害はなく、どこか自分のこととしては考えにくい「もどかしさ」もあった。3・11に向き合うようになったのは、大学生になって記憶の風化に危機感を抱いたからだという。

 昨年夏、東京で開かれた「第三世代が考えるヒロシマ『 』継ぐ展」に、門馬さんはスタッフとして参加した。広島市出身で東京在住のウェブデザイナー久保田涼子さん(35)を中心に、2015年から毎年続く原爆の記憶継承の催し。4回目を迎える同展は、ことし8月10~15日に初めて仙台で開かれる。広島での学びは、その準備のためだ。

 戦争と自然災害は異なるが、門馬さんは継承と復興に共通点を見いだしているという。「仙台では震災を『もういい』と感じる人もいるが、原爆も震災も忘れてはいけない。伝える取り組みは大切で、復興は人々の勇気になる」

 新たに同展スタッフに加わった石川さん、千葉さんも意欲的だ。「『被爆者』と言っても体験は一人一人違い被災者と同じだと思った」(石川さん)「まずはしっかりヒロシマを学び同世代に伝えたい」(千葉さん)。広島訪問に同行した久保田さんは「広島の惨禍を多くの人に共感してもらえるよう、学生の思いもつなぎたい」と期待する。

(2018年2月26日朝刊掲載)

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