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ヒロシマの絵本 宿泊先で読んで

発行者のNPO 30施設に寄贈へ

惨状そして復興 国内外に伝える

 オーストラリア在住の絵本作家森本順子さん(80)が広島での被爆体験を描いた日英両文の絵本「わたしのヒロシマ」=写真=が、広島市内の30のホテルや旅館に配られる。客室やロビーに置き、修学旅行生や国内外の観光客に読んでもらう。発行者のNPO法人HPS国際ボランティア(西区、佐藤広枝理事長)が来年3月までの寄贈を決めた。(増田咲子)

 絵本は縦23センチ、横21センチ、40ページ。2010年に出版した。13歳の時、現在の西区三篠町にあった自宅で被爆した森本さんが、絵や写真、文章を交えて体験を描いた。被爆前の穏やかな暮らしから、次第に濃くなる戦時色、原爆投下による惨状、そして広島が復興した現在までを表現している。

 HPSは今年6月、平和学習の教材に使ってもらおうと、広島市立の小中学校全206校に40冊ずつ贈った。ホテルへの寄贈は、市から「世界に被爆の実態を伝えてほしい」と提案され、HPSが引き受けた。これまでに市の仲介で、ホテルサンルート広島(中区)や広島ガーデンパレス(東区)など30のホテルと旅館から計2320冊の希望があった。

 佐藤さんは「広島を訪れる国内外の人に絵本を手にとってもらい、ヒロシマについて知ってほしい。原爆の悲惨さだけではなく、復興への力も感じ取ってもらえれば…」と話している。

 絵本は計6千冊贈る予定。必要な費用は、300万円を目標に来年1月末まで寄付を募って賄う。郵便振替でHPS国際ボランティアの口座01330―0―58136で受け付ける。1口千円から。佐藤理事長Tel090(7895)5366。

(2012年11月19日朝刊掲載)

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