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原爆症認定 「残留放射線」で平行線 厚労省検討会

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第17回会議が20日、省内であった。焦点である残留放射線の健康影響の評価をめぐり委員間で議論は平行線をたどった。

 認定制度の改善を訴える荒井史男弁護士は影響について「認定基準に取り込めるほど科学的知見が熟していない」と指摘。科学の進歩も視野に、審査時に個別に判断するしかないと主張した。

 これに対し、日本被団協の坪井直代表委員は被爆体験から「影響があるのは間違いない」と強調。田中熙巳(てるみ)事務局長も、現行制度の改善で影響をくみ取れる手だてが示されていないと主張。制度を廃止し、放射線との関連が認められる病気に被爆者がかかれば、支給額を増す新手当の創設を繰り返し訴えた。

 終了後に記者会見した田中事務局長は「現行制度の改善案はいまだに中身があいまい。一つ一つ決めていく道筋を座長に提案したい」と述べつつも、疲労感を隠さなかった。

 原爆症認定制度の見直しは、裁判によらずに被爆者を救済するため、被団協の要請を受けるかたちで進めている。検討会は2010年12月に設置。来夏までの具体化を目指している。(岡田浩平)

(2012年11月21日朝刊掲載)

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