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広島に「定住」 過半数 県内の震災避難者 アスチカ調査

 東日本大震災に伴う避難者グループ「ひろしま避難者の会アスチカ」は会員世帯対象のアンケートをまとめた。今後の生活拠点について、現在地で定住するとの回答が53・1%と、2014年の調査開始以来、初めて過半数を占めた。震災から7年を経て、広島県で仕事や住まいなどの生活基盤を固めた人がいるほか、放射線被害を懸念する声も根強い。(奥田美奈子)

 会員113世帯のうち、43・4%の49世帯が答えた。生活拠点は「今住んでいる自治体に定住」が前年比8・1ポイント増で最多となった。「決めていない」は30・6%。「避難元へ戻る」は6・1%にとどまった。「その他・無回答」は8・2%、「避難元以外へ移動」は2・0%だった。

 定住を選んだ理由は「仕事がある」「家を購入した」「子どもに友人ができた」などだった。広島県で「心を許せたり、頼り合ったりできる人」がいるとの回答が全体の79・6%に上っており、アスチカは「それぞれに困難もあるが、前向きに生活をしようとしている」とみる。

 ただ「放射線被害が怖い」「(被災地に)戻りたくない」との声も根強い。つらいこと(複数回答)は、震災から7年がたち「震災や原発事故のことが世間から忘れられている」(42・9%)「原発再稼働」(40・8%)と続いた。

 不安なこと(複数回答)は、「自分の健康」(42・9%)「家族の健康」(38・8%)に続いて「避難元にいる親の老後・介護」(36・7%)。避難者やその家族が年齢を重ね、健康問題が深刻化している様子がうかがえる。三浦綾代表(45)は「避難者との言葉一つでくくることなく、それぞれの考えや課題に応じた細やかなサポートが必要になっている」としている。

(2018年3月11日朝刊掲載)

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