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「被災地のため何を」模索 大震災7年 広島などの学生団体 東北の現状 地元で報告

継続の難しさ実感 長期的に計画し支援

 東日本大震災の発生から、きょうで7年。これまで全国から大勢の人が被災地を訪ね、復旧作業に励んだり被災者との交流を温めたりしてきました。ところが時がたつにつれて訪問者は減りつつあります。「つながり続ける」ために、私たちにできることは何なのでしょう。ボランティア活動に励んできた大学生の思いに触れながら、考えてみます。(松本輝)

 広島市中区立町の広島経済大立町キャンパスに3日、東北や熊本地震の被災地で活動する全国5大学の7団体が集いました。同大や九州国際大(北九州市)が、復興支援の在り方や今後の活動方針について意見を出し合いました。

 広島大の学生ボランティア団体「OPERATION(オペレーション)つながり」は、昨年夏の宮城県訪問を最後に、東北での活動を終えたことを報告しました。交流を続けていた、仙台市若林区の仮設住宅で暮らす被災者が2016年9月末までに公営住宅などに移り、交流継続が難しくなったためです。

 仮設住宅の掃除を手伝った、一緒にお好み焼きを作って食べた…。地震発生の半年後から紡いできた被災者との絆は、彼らにとって宝物。それだけに活動終了という決断は、重く苦しいものでした。

 「東北のために何かしたくてここに入ったから、残念」。肩を落とす1年桑本真衣さん(19)の言葉を、1年石崎花奈さん(19)が「でも」と引き継ぎます。「行くことに意味があるのは分かっているけれど、交流実績のない私たち1年生が今から被災地に行ったとしても、正直どうすればいいのか分からない」

 こうして学生ボランティアが減少した後の東北を見据え、活動計画を練る団体もあります。東海大湘南キャンパス(神奈川県平塚市)の「3・11生活復興支援プロジェクト」は、始動した11年4月に20年までのロードマップを作製。この10年を①緊急援助②復旧③復興準備④復興―の4期に分けました。掲げた活動理念は「持続可能な開発のための復興支援」。岩手県大船渡市での遊歩道整備や公民館建設に取り組んできました。

 本年度サブリーダーの2年小川貴大さん(20)は「私たちはいずれいなくなるけれど、被災者の皆さんが自立し、生活が機能するために、できる限りのことをしたい」と話します。

 7年という年月は、学生たちにこんな問いを投げ掛けます。活動の在り方は、これからの方向性は―。どの団体も、今後を模索していました。

 年1回、被災地を訪問している広島経済大(安佐南区)東北支援プロジェクト代表の3年谷岡潤哉さん(21)は、「私たちが東北に通い続けるのは、帰ってから人に伝えるためでもあるんです」と力を込めました。

 交流した住民の話を広島市内の小学校で話したり、公民館で東北の写真展を開いたり。「募金とか講演会を聞きに行くとか、何年たっても遅すぎることはない。『いまさら』と思っている人が、今からでも東北のために一歩踏み出すきっかけをつくりたい」

(2018年3月11日朝刊掲載)

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