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東北で聞いた被災体験 本に 復興手伝い取材 広経大生企画

「忘れないこと」テーマ 伝える東日本大震災

 広島経済大(広島市安佐南区)の学生団体「東北支援プロジェクト」(7人)が、東日本大震災の被災地で住民から聞き取った被災体験を本にまとめる作業を進めている。現地でじかに触れた被災者の息遣いを伝えたい―。「読んだ人が東北について考え、行動するきっかけになれば」と願う。(松本輝)

 宮城県気仙沼市で取材した5人の体験を紹介する。本人の思いが読む人に真っすぐに届くよう、方言の語りをそのまま文字にする。

 代表の3年谷岡潤哉さん(21)が印象深かったのは、当時、土産物店を開いていた熊谷すん子さん(91)の言葉。「あんときなぜにしてにげっぺかねえ(あんな時、どうやって逃げればいいのかねえ)」

 津波に襲われたあの日、多くのご近所が命を落とした。記憶をたどる熊谷さんの真剣で、悲しそうな顔が心に残った。「広島でも伝え継いでいかなければと思った」と語る。

 同プロジェクトは2012年2月に結成。毎夏、主に宮城県内の被災地を訪ね、復興の手伝いをしながら住民を取材した。録音した人の数は30人以上になった。

 「データで残しているだけでは意味がない。震災を忘れないことが僕たちの大きなテーマ」と4年玉崎大晶さん(22)。今、録音の文字起こしを進め、6月末の完成を目指す。300部作り、広島市内の小学校や図書館などに配る予定だ。

 1年大石修平さん(19)は「今後、石巻や南三陸の人の話も本にしたい」。谷岡さんは「少しでも東北の皆さんの思いが伝わり、人の心を動かす一冊になれば」と意気込む。

(2018年3月12日朝刊掲載)

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