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基地関連財源 4市町147億円 岩国市は最高138億円

 米軍岩国基地のある岩国市と周辺の大竹市、山口県和木、周防大島両町の2018年度一般会計当初予算案が出そろった。4市町は在日米軍再編に伴う再編交付金の対象自治体で、基地関連の国の補助金や交付金は合計147億4200万円に上り、9割強を岩国市が占める。5月ごろに完了予定の同基地への空母艦載機移転を踏まえ、事件事故対策や日米交流事業、騒音被害の大きい地域に配慮した施策を進める。

 岩国市の基地関連の補助金や交付金は138億6500万円で一般会計の17・3%を占め、総額、割合とも過去最高。ごみ焼却施設建設などの大型事業の継続に加え、防犯カメラ設置をはじめとする安心安全対策を推進。愛宕山地区の運動施設エリアで日米交流事業を展開する。再編交付金は13億4400万円を見込む。

 市議会などには基地財源への依存の高まりを懸念する声もあるが、福田良彦市長は「補助金や交付金のメニューを精査し、有利な財源を求めた結果。基地絡みの予算だけに頼っているわけではない」と強調する。

 広島県で唯一の再編交付金対象である大竹市は、同交付金4億400万円を計上し、阿多田島の漁協施設の改修支援などを予定する。「騒音被害が激しい阿多田島は常に気にかけている。約280人の人口割合からすれば相当、予算を突っ込んでいる」と政岡修総務部長。

 和木町は3億2200万円(うち再編交付金は2億5100万円)で、19年4月に開園する予定の認定こども園の防音工事などに活用。周防大島町は1億4900万円(同1億4700万円)を盛り込み、小学校の空調設備の設置などに振り向ける。

 このほか4市町では、子ども医療費助成をはじめとする医療福祉分野、道路改良などハード事業への配分も目立つ。再編交付金は22年度に期限を迎えるが、国は延長・増額を「確約」しており、23年度以降も同様の財源が確保される見通しだ。周防大島町の椎木巧町長は「移転で騒音被害の拡大も懸念される中、それに見合う支援は必要だ」と受け止める。

 一方、山口県は18年度一般会計当初予算案で、在日米軍再編に伴い基地負担が増える都道府県向けの交付金について、17年度比約2・8倍の57億900万円を計上。岩国市と和木、周防大島両町を対象に企業誘致促進への補助や、県が指定する区域での防音サッシの設置などに取り組む。

<米軍岩国基地関連の国の補助金・交付金総額と、事業の一部>

自治体 2018年度当初(17年度当初比)  事業内容(予算額)

岩国市 138億6500万円(21.6%増) ごみ焼却施設建設(81億4200万円)
                       防犯カメラ整備事業(3000万円)
                       日米交流事業などの基金積み立て(6500万円)
大竹市 4億400万円(12.6%減)    子ども医療費助成の基金積み立て(1億3000万円)
                       阿多田島漁協の施設改修補助(500万円)
和木町 3億2200万円(3.3%減)    認定こども園建設の基金積み立て(2億700万円)
                       認定こども園の防音工事など(6800万円)
周防大島町 1億4900万円(6.1%増)  医療体制確保の基金積み立て(9600万円)
                       小学校への空調設備設置(3200万円)
  計  147億4200万円(19.5%増)    -

※10万円以下を切り捨てているため、合計額は合わない

(2018年3月15日朝刊掲載)

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