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日本、核貯蔵庫容認か 米科学者 09年の公使発言公開

 米国の科学者で組織する「憂慮する科学者同盟」メンバーのグレゴリー・カラキ氏は23日、東京都内で記者会見し、秋葉剛男外務事務次官が駐米公使だった2009年に、沖縄へ核貯蔵庫を建てる案について米政府から問われ、「説得力がある」と回答したことを示す資料を公開した。

 日本が核配備を容認したと受け止められかねない内容で、カラキ氏は「公式な議事録が公開されるべきだ」と訴えた。

 公表したのは、米国のオバマ前政権の核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」策定を巡り、米議会設置の戦略態勢委員会の出席者がまとめた概要メモ。それによると、委員会の意見聴取で、秋葉氏は、委員会副議長のシュレジンジャー元国防長官に対し、日本の安全保障上の脅威を感じていると説明。沖縄への核貯蔵庫建設の可能性を問われ、「説得力があるように思う」と発言していた。

 この概要メモは開会中の通常国会の質問で取り上げられ、河野太郎外相は「秋葉氏はそのような発言をしていないと確認した。会合の公式記録は存在しない」と答弁している。

 記者会見で、カラキ氏は「米側の参加者から『議事録は存在するが日本が同意しない限り公開できない』と聞いた」と説明。メモに基づけば、日本政府が米側に核兵器の役割を広げ、柔軟に運用することなどを求めていたと指摘した上で、「核軍縮を掲げる日本政府が国民や世界に言ってきたことと異なる。広島、長崎の精神とも矛盾する」と批判した。(田中美千子)

(2018年3月24日朝刊掲載)

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