×

ニュース

[イワクニ 地域と米軍基地] 飛来1機 異なる説明 艦載機 地元に困惑広がる

防衛省「2部隊移転とは別」/米「移転」

 米軍岩国基地(岩国市)へ厚木基地(神奈川県)から空母艦載機約60機が移転する計画で、残るFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機2部隊(24機程度)の移転開始を巡って防衛省と在日米海軍の説明が異なっている。26日に岩国へ飛来した1機について、同省は27日、米側の情報として「2部隊の移転とは別」と岩国市などに連絡。一方、米海軍は一貫して「1機は移転した」と明言し、地元に困惑が広がっている。

 スーパーホーネット1機は26日夕、岩国基地に到着した。機体番号から、中国四国防衛局が「24日ごろから岩国へ移る予定」とした残る2部隊の所属機とみられる。複数の関係者によると、2部隊の他の所属機が米国での訓練に参加する中、この1機は厚木基地に残っていたという。

 同機の飛来について、在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は26日の中国新聞の取材に「一連の移転の一環」と説明。曖昧な表現のため、機体番号も伝えた上で移転かどうか尋ねたところ、担当者は移転であると認めた。

 一方、防衛局は26日時点で「確認中」とした。翌27日、米側から得た情報として「継続中の移転の一環だが、2部隊の移転とは別のもの」と岩国市や山口県に連絡。米海軍が前日、中国新聞にした説明と違っていた。このため中国新聞が司令部に改めて確認すると、担当者は「(1機が)26日に移転した」と答えた。

 防衛省地方調整課は「米側から得た情報をそのまま防衛局に伝えた。米側に事実関係を改めて確認するつもりはない」。防衛局も地元自治体への説明を変える予定はないという。市基地政策課と県岩国基地対策室は「防衛局の説明通り受け止めている」とするが、戸惑いもうかがえる。

 廿日市市の市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の坂本千尋共同代表は「日米間の意思疎通の課題が改めて露呈した。移転完了は住民にとって影響が大きく、国は分かりやすい情報提供に努めるべきだ」と指摘する。(松本恭治、馬上稔子、和多正憲)

(2018年3月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ