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NPT体制の強化を 賢人会議が提言案

 核軍縮の方策を探る外務省の「賢人会議」は27日、東京都内で開いた第2回会合で、核兵器保有国の核軍縮の交渉義務を定める核拡散防止条約(NPT)体制の強化などを軸とした提言案を取りまとめ、2日間の日程を終えた。近く全文を公表し、河野太郎外相に提出。日本政府は4月下旬からスイス・ジュネーブであるNPT再検討会議第2回準備委員会の議論に反映させる。

 白石隆座長(前政策研究大学院大学長)が終了後に記者会見し、提言の骨格を説明した。非人道性から核兵器禁止条約を推進する非保有国と、安全保障面から核抑止力を重視する保有国や同盟国との溝を念頭に、「橋渡しの行動」を3構成で提示。保有国が持つ核戦力の透明性を高めることなどによるNPT体制強化のほか、国家間の信頼醸成と、核軍縮の履行を確かめる検証措置の発展を盛り込むという。

 白石座長は「核兵器に関する国際環境は非常に難しいが、委員全員の合意で何かまとめたいとの強い意志があった」と強調。委員の一人で会見に同席した広島平和文化センターの小溝泰義理事長は提言について、「核兵器の法的禁止への距離を考えると非常に良かったとはいえないが、重要なステップを踏んだ」と指摘した。

 賢人会議は昨年11月に広島市内で第1回会合が開かれ、核保有国や同盟国、核兵器禁止条約を支持する非保有国の双方の10カ国から専門家たち16人が委員を務めた。今回の提言を出した上で、2018年度も開催するという。(水川恭輔、田中美千子)

(2018年3月28日朝刊掲載)

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