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起業通じ格差解決を ユヌス氏 広島大で講演

 貧困層の起業に融資をする「グラミン銀行」をバングラデシュで設立し、2006年にノーベル平和賞を受賞した経済学者ムハマド・ユヌス氏(77)が27日、広島市中区の広島大東千田キャンパスで講演した。格差や貧困が広がる社会構造をソーシャルビジネスを通じて変革する意義を語った。

 1983年設立のグラミン銀行は米国にも拠点を広げ、慈善事業ではなくビジネス支援として活動している。ユヌス氏は「資本主義社会の下でも、人間には利益追求だけでなく社会の問題解決に貢献したい気持ちがある。それをビジネスとして成り立たせれば極端に偏在する富は拡散していく」と力説した。

 講演会には広島大の学生と教職員、市民ら約130人が参加。学生たちとの質疑応答では「自分が人生の中でやりたいことがソーシャルビジネスになる。皆が起業家になれる」などとエールを送った。同大の越智光夫学長からは特別栄誉教授の称号を授与された。

 ユヌス氏は新著出版を記念して来日し、11年ぶりに広島を訪れた。この日は平和記念公園(中区)を訪れたほか、広島市役所で松井一実市長と会談。「二度と原爆の被害を繰り返さないため、世界の全ての子どもは広島を訪れて平和や人間の相互理解とは何かについて学ぶべきだ」と話した。(金崎由美、永山啓一)

(2018年3月28日朝刊掲載)

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