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米ロスアラモスでの原爆展 資料館 19年度開催断念

 広島市中区の原爆資料館は30日、米国の原爆開発の拠点だったニューメキシコ州ロスアラモスで計画していた広島、長崎両市の原爆展について、当初予定していた2019年度の開催は断念すると明らかにした。共催予定だった現地のロスアラモス歴史博物館側が、核兵器廃絶への具体的な方策を示す展示がさらに必要としたため。資料館は20年度以降の開催を目指す。

 原爆展について資料館は、被爆資料や、廃絶を目指す平和首長会議の活動などを伝えるパネルの展示を想定していた。資料館によると、今年2月、博物館側から「19年度の開催は見合わせる」とする内容のメールが届いたという。

 現地では現在も核兵器に関する研究が続けられており、メールでは「核関連の産業に携わっている住民も多く、具体策を示さないと廃絶の必要性や実現性に疑問を抱かれる」などと懸念。核兵器の削減を確かめる検証方法などの説明を増やす必要があるとする。

 再検討により、開催費用に充てる助成制度の19年度分の申請に間に合わないとの説明もあった。博物館側は「廃絶は高尚な目標。対話を継続したい」とし、資料館も20年度以降の開催に向けて協議する考えだ。

 資料館啓発課は「残念だが、廃絶への具体策の展示を増やせないかどうかを検討したい」としている。

 資料館は19~20年度、ロスアラモスのほかに米ハワイ・真珠湾のアリゾナ記念館など米国内3カ所で開く計画で、いずれも開催に向け協議中。米国での原爆展を巡っては1995年、首都ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館での計画が退役軍人らの反発で事実上中止された例がある。(水川恭輔)

(2018年3月31日朝刊掲載)

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