×

ニュース

植栽で景観保護へ 原爆ドームと原爆慰霊碑結ぶ南北軸 広島市 背後の建物隠す

 広島市は30日、平和記念公園(中区)にある世界遺産の原爆ドームと原爆慰霊碑を結ぶ南北軸の眺望景観について、背景の建物が見えないように植栽で隠す考えを明らかにした。広島商工会議所などが見える現況を改め、あらゆる建物が見えない眺めを評価するアンケート結果も示した。(江川裕介)

 市役所であった市景観審議会の部会(5人)で説明。原爆資料館本館の下から北側を眺めた景観で、今より数メートル高い木を植えたり育成したりして、基町高層アパートなどを隠す。ドームへの見通しを遮っている木は別の位置へ移植する。

 昨年末の部会で委員が植栽を提案。1月に市が公園で実施し、220人から回答を得たアンケートでも同じ意見が目立ち、検討を進めていた。委員からは「落葉したときも考える必要がある」との指摘があった。

 アンケートでは、ドームを中心とする現況と「仮想建物ができた」「商工会議所がない」など合成で作成した計6種の写真を見せて評価を調査。マイナス3~3点で回答してもらい、平均評点は、現況がマイナス0・56点。部会で「目指すべき姿」とした「あらゆる建物が見えない」ケースが最高の2・23点だった。

 市は植栽計画と併せて、ドーム北側エリアの法的な建物の高さ制限を導入する考えで、委員も賛同。次回の部会で、眺望景観の在り方の素案の取りまとめにかかる。素案は、松井一実市長から諮問を受けている審議会の答申に反映させる。

(2018年3月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ