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焦げた学生服/かばん/死亡証明書… 新たな遺品 原爆の惨劇 資料館で124点

 原爆資料館(広島市中区)に2016年度、寄贈された被爆資料や遺品を紹介する新着資料展が30日、同館東館で始まった。被爆者や遺族が保管してきた衣服やかばん、死亡証明書など124点が並び、原爆の悲惨さを伝えている。来年3月まで。無料。

 右側の肩から袖口にかけて焼け焦げ、破れた学生服は、被爆当時、県立広島商業学校(現広島商業高)2年生だった梅田尚司さん(86)=安芸区=が身に着けていた。

 爆心地から1・8キロの鶴見橋東詰め(現南区比治山本町)を南向きに歩いて登校中、右側から閃光(せんこう)を浴びた。爆風で吹き飛ばされ、顔や手に大やけどを負ったという。「もう、周りは火の海。やけどの傷にはうじ虫も湧いて大変だった」と梅田さん。

 学生服はこれまで、地元の船越中などでの証言活動に持参していた。膝を痛め、長時間の講演も難しくなる中で「若い人が平和のことを考えるきっかけになれば」と寄贈を決めた。資料館によると、16年度は54人から計638点が寄せられた。(永山啓一)

(2018年3月31日朝刊掲載)

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