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艦載機移転 周辺から不安や警戒 「いつどこで訓練?」「低空飛行中止を」

 空母艦載機の移転完了で極東最大級の航空基地となった米軍岩国基地。これまでも米軍機の爆音が降り注いできた広島、島根両県の自治体や住民からは、不安や警戒の声が上がった。

 西中国山地を覆う米軍の訓練空域「エリア567」直下にある広島県北広島町。「米軍機がいつ、どこで、どんな訓練をするのか分からないのが不安」。町内で最も騒音が激しい八幡地区の小笠原幸信・区長会長(62)は訴えた。「米軍も国も、ここに住民の生活があることを考えてほしい」

 同町の箕野博司町長も「低空飛行訓練の増加は容認できない」と強調した。

 同じくエリア567の下にある島根県邑南町で長年、米軍機の監視活動を続ける井上義信さん(79)は「住民が騒音被害を小まめに自治体や国へ通報すれば、被害防止につながるはずだ」。

 移転は昨年8月から段階的に進み、基地所属機は約120機へと倍増した。「今のところ大きな変化はないが、移転完了で不安が増すのは確か」と浜田市安全安心推進課の馬場正典課長。浜田、益田、江津の3市と島根県川本、邑南両町でつくる騒音に関する協議会で意見交換し、今後の状況を注視するとした。

 廿日市市沿岸部では1月、新幹線車内に相当する70デシベル以上の騒音が昨年の4倍程度計測され、住民の苦情も増えているという。真野勝弘市長は「市街地や世界的観光地である宮島の上空を飛行しないよう、国は米軍へ強く求めてほしい」と話した。

 広島県国際課の山本耕史課長は「国に対し、引き続き低空飛行訓練の中止と財政措置を含む騒音被害対策を求める」とした。

 岩国市と県境で隣接し、移転を容認した大竹市。入山欣郎市長は「基地に近い阿多田島をはじめ、市域での騒音の影響が大きい」とし、安心安全への最大限の配慮を求めた。

(2018年4月1日朝刊掲載)

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