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原発30キロ圏にヨウ素剤 島根県 配備エリア拡大方針

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)が立地する島根県は29日、原子力災害時に甲状腺がんを予防するために服用する安定ヨウ素剤を、年度内に原発30キロ圏の4市に配備する方針を明らかにした。従来の10キロ圏から範囲を広げ、国が服用対象とする40歳未満の約16万人に行き届く態勢を整える。

 10月に原子力規制委員会が原発30キロ圏を原子力災害対策重点区域と定め、配備エリアとしたのに対応する。30キロ圏4市の松江、出雲、雲南、安来市の各市役所に加え、松江、出雲、雲南市の各保健所、病院に置く。

 ヨウ素剤は低年齢ほど服用後の効果が大きいとされており、小中高校への配備も検討する。現在は、約8万4千人が住む10キロ圏が配備対象で、松江市役所、松江市立病院、県などに備蓄。災害時には避難所で薬剤師が服用させる態勢としている。エリア拡大後の服用方法は今後詰める。

 この日の県議会本会議で健康福祉部の布野典男部長が答弁した。家庭への配備は、規制委が年内に詳細な基準を定めるとしており「状況をみて対応する」と述べるにとどめた。「適正な保管方法や服用量、タイミングの周知が課題」(医療政策課)という。

 事業費は約140万円。全額、原発立地に伴う規制委の交付金を充てる。(樋口浩二)

安定ヨウ素剤
 医薬品。放射性ヨウ素を吸入する2時間前に服用すると約9割、2時間後でも約8割被曝(ひばく)を抑えるとされる。錠剤と粉末状がある。国は、原子力災害時に13歳以上は錠剤を1回2錠、12歳以下は1錠、乳幼児は粉末を服用するよう定めている。

(2012年11月30日朝刊掲載)

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