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平和や命への思い表現 高畑勲さん死去 岡山空襲を体験

 5日に82歳で亡くなったアニメーション映画監督の高畑勲さんは、父親の転勤で小学校から高校までを岡山市で過ごした。9歳で岡山空襲に遭った経験も背に、「火垂(ほた)るの墓」などの作品に平和や命への思いを表現し続けた。(加茂孝之、桜井邦彦)

 高畑さんは戦後70年の2015年6月、市主催の講演会で空襲体験を初めて地元で語った。大森雅夫市長は「私と同じような経験をさせないよう平和を守る役割を果たしたい、と訴える姿に感動した」としのぶ。

 岡山県の伊原木隆太知事は6日の定例会見で、「日本アニメーション界に大きな影響を与えられた方だった」と功績をたたえた。

 赤磐市出身の詩人永瀬清子さん(1906~95年)とも親交があった高畑さん。ことし2月に同市であった朗読会「永瀬清子の詩の世界」で講演し、自身の監督作「かぐや姫の物語」について、永瀬さんの作品「諸国の天女」の影響を受けたことなどを紹介した。

 大竹市のシンガー・ソングライター二階堂和美さんは、高畑さんの強い希望で「かぐや姫の物語」の主題歌「いのちの記憶」を手掛けた。「巨匠なのに偉ぶることなく、私が生意気なことを言っても対等な立場で尊重してくださった。意見をぶつけ合って、いい曲に仕上がった」と振り返り、「こんなに早く別れがきて残念」と悼んだ。

(2018年4月7日朝刊掲載)

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