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岩国の空母離着陸訓練 首相「基本実施せず」

 米軍岩国基地での陸上空母離着陸訓練(FCLP)を巡り、安倍晋三首相は9日の参院決算委員会で「基本的に岩国で実施することはない」との見解をあらためて示した。共産党の仁比聡平氏の質問に答えた。首相は、岩国基地の運用マニュアルにFCLPに関する記述があることについては言及を避けた。

 仁比氏は、運用マニュアルにFCLPを同基地で実施する場合の飛行高度などの条件が明記されていると指摘し、この記述を米側に撤回させるよう求めた。これに対し、首相はFCLPは原則、硫黄島(東京)で実施することになっていると説明。「米側にできる限り訓練を硫黄島でするよう、今後も申し入れる」と述べるにとどめた。

 FCLPは、空母艦載機のパイロットが洋上の空母に着艦する資格を得るのに必要な訓練。滑走路を甲板に見立てて離着陸を繰り返す。激しい騒音を伴うため、日本は硫黄島を暫定的な訓練施設として提供している。

 FCLPは岩国基地では2000年が最後。岩国市などは、岩国基地で実施しないことを厚木基地(神奈川県)の艦載機受け入れの前提条件とした。しかし、米側は、硫黄島が天候不良などで使用できない場合の予備施設として岩国や厚木などの基地を指定。「岩国で実施しない」と明言していない。

 厚木では昨年9月、硫黄島周辺の悪天候を理由に5年ぶりに実施された。小野寺五典防衛相は「さまざまなチャンネルを通じて硫黄島での実施を申し入れた」とした上で「事態は重く受け止めている」と述べた。

 岩国基地の運用マニュアルを巡っては、米軍機の飛行や訓練の規制に関し、地元との確認事項に反する内容が含まれていたことが中国新聞の取材で判明した。(田中美千子)

(2018年4月10日朝刊掲載)

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