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被爆体験継ぐ決意 新規伝承者28人委嘱式

 被爆者の記憶と平和への思いを次代に語り継ぐ、広島市の「被爆体験伝承者」の委嘱式が9日、中区の原爆資料館であった。本年度は最短で3年間の研修を終え、新たに伝承者となった28人を加えた計117人が活動する。

 新規の伝承者のうち25人が出席。一人一人に委嘱書を手渡した広島平和文化センター(中区)の小溝泰義理事長は「被爆者の思いと核兵器の悲惨さを間違いなく伝えてほしい」と激励。5月末までに開催予定の米朝首脳会談にも触れ、「核のない世界に向かうため、大事な時に来ている」と強調した。

 委嘱期間は1年。28人は10日から順次、講話を始める。被爆2世の会社員菅昭彦さん(58)=山口市=は中学校の担任だった被爆者の瀬越睦彦さん(83)=佐伯区=の記憶を引き継ぐ。「当時の1人の少年の生活ぶりを丁寧に伝えることで原爆の悲惨さを考えるきっかけにしてもらいたい」と意気込んだ。

 伝承者は2015年4月からセンター主催の講話会などで被爆者の体験を語っており、17年度は観光客や修学旅行生たち3万7746人の前で話をした。本年度は国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)が伝承者を市外の小中学校などに無料で派遣する事業も始める。(永山啓一)

(2018年4月10日朝刊掲載)

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