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江津の有福温泉荘、来年末に閉鎖 被爆者向け療養施設

 被爆者向け宿泊施設の原爆被爆者有福温泉療養研究所「有福温泉荘」(江津市)が、2013年12月末で閉鎖することが30日、分かった。被爆者の高齢化で利用者が減り、築45年と建物の老朽化も進んだため。広島、長崎県外で唯一残る被爆者向け温泉療養施設だった。(黒田健太郎)

 開設した広島原爆障害対策協議会(原対協、広島市中区)が、運営を受託している江津市の協議会(会長・田中増次市長)に伝えた。

 有福温泉荘(鉄筋2階、延べ1488平方メートル)は1967年に完成。客室20室や食堂、大浴場を備える。ことし3月までに延べ82万4千人が利用。施設側によると、ほとんどが広島県からの被爆者や付添人だったという。

 利用者は最盛期の93年度に年間2万2800人いたが、11年度は8500人まで減少。利用率も88・2%から32・5%にダウンしていた。経営悪化で原対協の補助金を受け、初年度の07年度は400万円だったが、11年度は1730万円、本年度は1850万円に上った。

 建物も老朽化で毎年改修が必要になっていたことから、原対協がことし10月、運営協議会の定例会で閉鎖の意向を表明。その後の協議で、協議会と結ぶ来年6~12月の運営委託契約の満了後に閉鎖することを決めた。

 広島、長崎両県外の被爆者向け温泉療養施設は、大分県別府市の原子爆弾被爆者別府温泉療養研究所「別府原爆センター」が11年5月、同様の理由で閉鎖した。

(2012年12月1日朝刊掲載)

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