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放射線の人体影響知って 放影研が中区で講座 被爆者の追跡結果報告

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は1日、放射線が人体に与える影響を考える市民講座を原爆資料館東館(中区)で開いた。1950年代から続けている被爆者の追跡調査から分かったことなどを報告した。(門脇正樹)

 小笹晃太郎疫学部長は、約8万7千人の被爆者を対象にした調査結果を説明。30歳で被爆して1グレイ浴びた人が70歳になった時にがんで死亡するリスクは、被爆していない人より約40%高かった。1グレイは広島の爆心地から1・1キロでの被爆に相当する。

 小笹疫学部長は「被爆時の年齢も、がんになるリスクに影響している」と指摘した。

 楠洋一郎放射線生物学・分子疫学部長は、放射線が健康障害を起こすメカニズムを報告。「仕組みを知れば被爆者の病気の予防や治療につながる」と強調した。

 約140人が参加した。中区の看護師太平悦子さん(64)は「放射線被曝(ひばく)の影響は長期間続く可能性がある。正しく知っておきたい」と話していた。

 市民講座は放影研の研究成果を広く知ってもらうのが目的。2010年から始め、3回目。

(2012年12月2日朝刊掲載)

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