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[イワクニ 地域と米軍基地] 岩国艦載機 九州沖訓練へ 移転部隊の運用本格化

 中国四国防衛局は18日、米軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地(岩国市)へ移転した空母艦載機のパイロットが九州沖の太平洋上で、空母への着艦資格を得る訓練をすると同市や山口県に伝えた。実施時期は5~6月とみられ、岩国に移った艦載機約60機の部隊運用が本格化する。訓練後の機体が深夜や未明に岩国へ戻る可能性があり、周辺の騒音悪化が懸念される。

 実施するのは、洋上の空母への離着艦を繰り返す着艦資格取得訓練(CQ)。移転前は、厚木を拠点に関東地方の房総沖でしていた。米軍は陸上空母離着陸訓練(FCLP)後、10日以内のCQ実施を定めている。FCLPは例年5月ごろ、原則、硫黄島(東京)で行われている。

 防衛局によると、CQは4日間程度。毎日数十機が昼から夜にかけて段階的に岩国基地を離陸。九州沖での訓練後は空母に格納される機体を除き、岩国へ戻る。米側は午後11時ごろまでに戻る予定とするが、滑走路の運用時間(午前6時半~午後11時)外になる可能性もあるという。

 防衛局の赤瀬正洋局長は岩国市役所で福田良彦市長と面会し、CQの実施時期について「米側から情報が得られ次第知らせたい」とした。また、FCLPの事前集中訓練に関し「通常訓練の一環として岩国でも実施される」との見通しを示した。市はFCLPとともに、事前集中訓練も岩国でしないよう国に要請している。福田市長は、地域への影響を最小限にとどめるよう要請した。

 艦載機移転を巡っては3月末、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機など約60機の配備が完了。岩国基地所属機は約120機に倍増し、極東最大級の航空基地となった。(松本恭治)

着艦資格取得訓練(CQ)
 空母艦載機のパイロットが空母に着艦する資格を得るための試験。実際に洋上展開した空母を使い、日中と夜間、甲板に設置されたワイヤに機体のフックを引っ掛けて着艦し、十分な技量があるかを採点する。1回の訓練期間は4日間程度で、艦載機を運用する第5空母航空団のパイロット約100人が参加する。滑走路を甲板に見立てて離着陸を繰り返す陸上空母離着陸訓練(FCLP)後、10日以内に始める必要がある。

(2018年4月19日朝刊掲載)

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