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欧州記者「心動かされた」 広島で被爆者らを取材 

 日本新聞協会の「欧州記者フェローシップ計画」で来日した英国など4カ国の記者4人が11月25~27日、広島市を訪れ、被爆者らを取材した。

 4人は、チェコの週刊誌の上級アナリスト、ルカーシュ・コヴァンダさん、デンマークの日刊紙記者メテ・デュアスキョットさん、ルーマニアの日刊紙記者マリアン・パヴァラシュクさん、英国放送協会(BBC)アシスタントプロデューサーのアーロン・アキニェミさん。いずれも20、30代の男女。

 26日、中国新聞社を訪れ、岡谷義則社長と懇談。原発問題などで意見交換した。中国新聞の原爆・平和報道や、被爆地の訴えを英文サイトを通して世界に発信しているヒロシマ平和メディアセンターの取り組みなどについても、担当者から説明を聞いた。

 続いて、8歳の時に爆心地から約2・8㌔の自宅で被爆した岡田恵美子さん(75)の証言に耳を傾けた。岡田さんは、母や弟と避難する途中で見た惨状や、学徒動員で建物疎開作業をしていた4歳上の姉が被爆死するなど、多くの子どもたちが犠牲になったことを説明。「悲劇を繰り返してはいけない。世界にはまだ2万発の核兵器がある。地球人として、みんなが核廃絶に取り組むよう希望します」と訴えた。

 記者からは「福島第1原発事故後の今、原発についてどう考えるか」「中国との関係についてどう思うか」などの質問が相次いだ。

 コヴァンダさんは「岡田さんが今でも日没を見ると、原爆の閃光(せんこう)を思い出して恐ろしいという話が印象的だった」、デュアスキョットさんは「原爆について多くの本を読んでいたが、岡田さんの被爆証言には心を動かされた。世界平和を目指す努力も印象に残った」、パヴァラシュクさんは「詳細な証言を聞き、良い記事が書けそうだ」、アキニェミさんは「非常に興味深く、内容のある証言だった」と、それぞれ感想を述べた。

 その後、平和記念公園(中区)を訪れ、原爆資料館を見学。放射線影響研究所(南区)では放射線の影響などについて説明を受けた。

 4人は11月18日に来日。自動車会社や、日本銀行、原子力規制庁なども取材し、30日に帰国した。

(2012年12月3日朝刊掲載)

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