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シリアの人々へ 連帯 難民ピアニスト 広島市中区で集い 惨状訴え

「苦しみから抜け出す希望が見えない」

 内戦が続くシリアの路上でピアノを奏でる様子から「戦場のピアニスト」と呼ばれたパレスチナ難民、エイハム・アハマドさん(30)の演奏会が19日夜、広島市中区であった。約200人が集い、演奏やシリアの現状報告に耳を傾けた。

 アハマドさんは、知人の死や難民キャンプでの飢餓の苦しみを歌詞に込め、ピアノで弾き語った。「シリアでは苦しみから抜け出す希望が見えない」と戦争の悲惨さを訴え、被爆ピアノも奏でた。

 招いた東京の支援団体によると、アハマドさんは過激派組織「イスラム国」(IS)にピアノを燃やされた。現在はドイツに逃れているが、親族の多くはシリアに残っている。

 会場では、広島から連帯の思いを伝えようと、本人を囲み「スタンドウィズシリア」のメッセージを掲げた。西区の看護学生近松直子さん(28)は「歌詞のエピソードから、同じ生身の人間が殺されていると実感できた。歌い続ける彼のように、諦めずに平和への道を考えたい」と話していた。(馬場洋太)

(2018年4月21日朝刊掲載)

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