×

社説・コラム

米に核軍縮迫る契機 広島市立大平和研 水本副所長に聞く

 核実験中止や核実験場の廃棄などを発表した北朝鮮の狙いや今後の課題について、広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(61)=核軍縮=に聞いた。水本副所長は、米国に核軍縮を迫る契機になり得ると指摘した。(永山啓一)

  ―北朝鮮発表をどう受け止めましたか。
 言葉を額面通り受け取るなら歓迎すべきことだ。ただ、一方的に北朝鮮を信用するのではなく、国際社会がその実行を検証する必要がある。

 トランプ米政権が新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」で核兵器の使用条件を緩和し、小型核開発を盛り込んだのは、北朝鮮の脅威が口実だ。北朝鮮の核軍縮が進めば、その根拠はなくなる。米国をはじめ、全ての核保有国に核兵器廃絶へ向けた働き掛けを強めることができる。それは、被爆国である日本政府の役割だ。

  ―北朝鮮の狙いは。
 現体制を維持し、米国と平和条約を結びたいというのが北朝鮮の一貫した主張。6月上旬にも予定されている米朝首脳会談を前に、最大の目的である現体制維持を米国に約束させるためのカードを切ったと言える。

  ―米朝首脳会談と、その後の展望は。
 米朝関係を正常化する道筋を付ける会談にしてほしい。それが北東アジアの安定につながる。米朝関係が正常化すれば、日本政府の姿勢も問われる。北朝鮮への不信感から従来のように圧力を前面に出すのではなく、日朝関係を正常化する方策を探るべきだろう。それが拉致問題を解決する近道でもあると考える。

(2018年4月22日朝刊掲載)

年別アーカイブ