紛争の地に折り鶴センター フィリピン・ミンダナオ島
12年12月3日
フィリピン南部ミンダナオ島にあるサンボアンガ市の非政府組織(NGO)サンボアンガ平和支援団体が広島の市民グループなどの協力を得て、市内の学校に「平和の折り鶴センター」をつくった。紛争が長年続く島で平和を築く大切さを学んでもらうのが狙い。空き部屋を活用した平和学習用のスペースとして、子どもたちが自由に原爆関連の本やDVDを手にできる。
折り鶴センターは、12~16歳が通う公立学校に政府の支援も受けて設置。被爆から10年後、白血病で亡くなった佐々木禎子さんを描いた絵本や、日系3世の米国人スティーブン・オカザキ監督のドキュメンタリー映画「ヒロシマナガサキ」のDVDなどを置いている。教員も教材として使用している。パソコンもあり、ミンダナオの子どもたちが描いた絵を飾っている。
センター設置を発案したのは、平和支援団体のメンバーのアルドリン・アブドゥラヒムさん(26)。2011年に広島であった国際協力機構(JICA)の研修に参加し、復興について学んだのがきっかけとなった。
本やDVD、パソコンは、広島市のNPO法人「ANT―Hiroshima」(アント、渡部朋子代表)などが寄贈した。渡部代表(59)が、アブドゥラヒムさんの受けた研修で講師を務めた縁で、設置に協力した。
アブドゥラヒムさんたちは今後も、市内の学校などにセンターをつくる考えだ。「紛争下の子どもたちに平和の大切さを知ってほしい。美しい地域を取り戻し、誰もが穏やかに暮らせるようにしたい」。渡部さんは「フィリピンは戦時中、日本が侵略した。平和を創るには若い人の行動が大切。今後も応援したい」と話している。(増田咲子)
ミンダナオ紛争
フィリピンのミンダナオ島では、独立を目指すイスラム武装勢力と国軍との武力衝突が40年以上続いてきた。約17万人が死亡し、延べ200万人以上が避難したとされる。今年10月には、同島を拠点とする反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線と政府側が和平の枠組み合意書に調印した。イスラム系住民が住む地域での新たな自治政府の2016年発足を目指す内容。和平実現への節目だが、不安定な治安情勢など難航も予想される。
(2012年12月3日朝刊掲載)
折り鶴センターは、12~16歳が通う公立学校に政府の支援も受けて設置。被爆から10年後、白血病で亡くなった佐々木禎子さんを描いた絵本や、日系3世の米国人スティーブン・オカザキ監督のドキュメンタリー映画「ヒロシマナガサキ」のDVDなどを置いている。教員も教材として使用している。パソコンもあり、ミンダナオの子どもたちが描いた絵を飾っている。
センター設置を発案したのは、平和支援団体のメンバーのアルドリン・アブドゥラヒムさん(26)。2011年に広島であった国際協力機構(JICA)の研修に参加し、復興について学んだのがきっかけとなった。
本やDVD、パソコンは、広島市のNPO法人「ANT―Hiroshima」(アント、渡部朋子代表)などが寄贈した。渡部代表(59)が、アブドゥラヒムさんの受けた研修で講師を務めた縁で、設置に協力した。
アブドゥラヒムさんたちは今後も、市内の学校などにセンターをつくる考えだ。「紛争下の子どもたちに平和の大切さを知ってほしい。美しい地域を取り戻し、誰もが穏やかに暮らせるようにしたい」。渡部さんは「フィリピンは戦時中、日本が侵略した。平和を創るには若い人の行動が大切。今後も応援したい」と話している。(増田咲子)
ミンダナオ紛争
フィリピンのミンダナオ島では、独立を目指すイスラム武装勢力と国軍との武力衝突が40年以上続いてきた。約17万人が死亡し、延べ200万人以上が避難したとされる。今年10月には、同島を拠点とする反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線と政府側が和平の枠組み合意書に調印した。イスラム系住民が住む地域での新たな自治政府の2016年発足を目指す内容。和平実現への節目だが、不安定な治安情勢など難航も予想される。
(2012年12月3日朝刊掲載)