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連載・特集

[Peaceあすへのバトン] 県立広島大4年 原大将さん

オバマ氏再訪 呼び掛け

 米国のオバマ前大統領に、広島へ再び来てもらうための活動をしています。名付けて「オバマ・プロジェクト」。リーダーを務め、800以上ある広島県内の公立校に、呼び掛けのための折り鶴とレターをお願いし、児童・生徒から寄せてもらいました。

 折り鶴は学校から1羽ずつ送ってもらい、これまでに約200羽が集まりました。999羽まで募った後、残り1羽はオバマさんに折ってもらい完成させる予定です。まだ700羽以上を集めないといけませんが、この200羽だけでも重みを感じます。

 手紙も約200通届きました。小学生には日本語で書いてもらい、私たちが英語に翻訳。中高生には英語でつづってもらいました。「原爆の悲さんさをまた感じてもらいたい」「もう一度広島に来ていただいて平和のメッセージを発信してほしい」との内容に、一生懸命書いた姿が浮かび心が打たれました。

 最終的に折り鶴と手紙は、オバマさんへ送る予定です。多くの人の協力に感謝するとともに、やり切るしかないと気を引き締めています。

 2016年5月のオバマさんの広島訪問を、自分はテレビニュースで見ていました。当時はそれほど平和に関心が深くなかった自分にも、被爆地で演説し折り鶴を贈った前大統領の影響力は、肌で感じられました。オバマさんの折り鶴を見るため、日本からも外国からも訪れる人が増えたように思えたからです。

 それから1年たち3年生になった時、授業で客員教授の福岡政行先生から、ある提案を聞きました。「トランプ大統領が就任してから、世界的に平和への意識が薄れつつある。今こそ広島にオバマさんを呼ぶべきでは」。自分は平和活動が初めてだったので最初は不安でしたが、まず授業を受けていた3人で話し合い、折り鶴と手紙を集めることを決めました。

 本格化に向け、三つのキャンパス全体に学生ボランティアの参加を求め、20人以上が手伝ってくれることに。公立学校の校長先生の会議で紹介したり、子ども向け動画を作ったりして、児童生徒に伝わるよう励みました。

 そこへ昨年11月、米国のオバマ財団からメールが。「この活動に興味がある。協力したい」。キャンパスが離れ、「報連相(ほうれんそう)」や仕事の割り振りがうまくいかなかったこともありましたが、この返事には喜び合いました。

 今はプロジェクトに協力してくれる人をどう増やすかが課題です。一般の人にも加わってもらい、折り鶴を完成させたい。新たな動画作りに挑み、訪問が自分の卒業後に延びることも想定して後輩への引き継ぎも考えています。

 3月にオバマさんが短い日程で東京を訪れましたが、広島に来てもらうことはかないませんでした。次はぜひ、広島で戦争廃絶に向けたアピールをしてほしいです。(文・山本祐司、写真・今田豊)

はら・ひろまさ
 広島市安佐南区出身。高陽高(安佐北区)生徒だった時に被爆者だった曽祖父が80代で亡くなる。卒業後は県立広島大人間文化学部へ。音楽演奏と鑑賞が趣味で、フォークソング部で活動。17年度からオバマ・プロジェトのリーダー。中区在住。

(2018年4月23日朝刊掲載)

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